PENTAX K-3 Mark III
発売から3年、遅ればせながらとうとう手を出したAPS-Cフラッグシップ。
PENTAXで野鳥撮影をしたいというワガママに応えてくれる製品。
カメラとしての完成度が非常に高く、動体性能以外の面でもかなり満足度が高い。
特徴
いいところ
◎ 高い連写性能とAF性能、優れたレスポンス
◎ 最高ISO160万の高感度耐性(特に色再現)
◎ 改良された操作性
◎ 5.5段5軸手ぶれ補正
◎ Wi-Fi / Bluetooth / USB-C充電対応
◯ UHS-II / UHS-Iのデュアルスロット
◯ 従来機同等のコンパクト設計
◯ アストロトレーサーType3対応
◯ 高解像タッチパネル式液晶
◯ マニュアルレンズの絞り値記録機能
◯ 4K動画対応 & ライブビュー/動画撮影の機能強化
◯ 動画撮影時/電子シャッター使用時の手ぶれ補正対応
◯ サイレントシャッター対応
△ 固定液晶
△ 連写性能の割にバッファ性能が低い
△ アストロトレーサーType1/Type2使用時はGPSユニットが必要
△ ボディ性能を活かしきれるレンズが少ない
他機種との主な違い
| センサー 有効画素数 |
OVF 倍率 |
最高 ISO感度 |
手ブレ補正 | 連写速度 (秒間) |
測距点 (クロス) |
測光 | 液晶 解像度 |
タッチ パネル |
スロット | Wi-Fi BT |
GPS | USB 充給 |
動画 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K-3III |
APS-C 2573万 |
1.05倍 | 1600000 | 5.5段 5軸 |
12枚 | 101点 (25点) |
30.7万 RGBIr |
固定 162万 |
◯ | UHS-II UHS-I |
◯ ◯ |
- | △ | 4K |
| K-3II |
APS-C 2435万 |
0.95倍 | 51200 | 4.5段 | 8.3枚 | 27点 (25点) |
8.6万 RGB |
固定 104万 |
- | UHS-I ×2 |
- - |
◯ | - | FHD |
| K-1II |
FF 3640万 | 0.7倍 | 819200 | 5段 5軸 |
4.4枚 (6.5枚) |
33点 (25点) |
8.6万 RGB |
マルチ 104万 |
- | UHS-I ×2 |
◯ - |
◯ | - | FHD |
ボディのAF性能に見合うレンズの選択肢など課題は残るが、PENTAXデジタル一眼の歴史上渾身の1台と言える。
前機種から据え置きサイズのボディにハイスペックな機能と細やかなブラッシュアップが凝縮されている。
使ってみて
機種名からI型、II型の流れを汲んでいるように感じられるが上記の表を見てもらえれば分かる通り、特に前機種のK-3IIと比較するとかなり盛り盛りのアップデートを果たしている。どうしちゃったの状態。
それもそのはず、2020年頃にもなると各メーカーは一眼レフ業界から本格的に撤退しつつあった。K-3IIIの一眼レフとしての競合機種はD500やEOS 7D IIになるのだが、真のライバルは全てのミラーレス機ということになる。一眼カメラメーカーとしてシェア率で最も不利なPENTAXが対ミラーレスに打ち出した答えは1.05倍の巨大ペンタプリズム。戦いの場がフルサイズフォーマットでないことに賛否はあるにせよ、発売から時間が経つにつれメーカーの勢いが危うくなっているにせよ、熱い展開と言わざるを得ない。
レンズの拡充を優先していたことでボディの新調は遅れつつ、自分もK-3IIIユーザーに。風景メインはK-1IIと単焦点、野鳥のいるフィールドではK-3IIIと望遠ズーム、サブでGRIIIを持つというスタイルが完成した。
画質
高感度性能
アクセラレータユニットIIが最高ISO感度160万という壊れ性能を実現。もちろん実用感度はもっと低い。
51200〜102400程度であれば緊急用として耐えうる範囲。通常用途のブレ回避で妥協できる範囲は12800〜25600までで、それなりに引き伸ばす場合はやはり1600〜3200程度に抑えたい。
輝度ノイズはK-1IIやKPと比較して劇的な差というほどではなく0.5〜1段未満の改善だが、色の再現性についてはかなり高感度域まで保たれるようになっている。K-1IIやKPがISO819200だと色味が転んでしまっていたのに対して、K-3IIIでは1600000まで元の色から大きく逸脱しない程度に留まっている。挑戦的な最高感度もただの看板ではないことが分かる。
リアルレゾリューション・システム
ベクター配列の色情報を補完した高解像撮影が可能。ただしK-1IIで開発された手持ちリアレゾは非搭載。
手持ちリアレゾはデータ容量を圧迫する割に効果が限定的でほぼ使わない機能だったので個人的には問題なし。三脚リアレゾ並の解像力を手持ちで実現するIII版が実現されていたらそれはそれで嬉しかった。
リアレゾに共通する注意点だが、本来の撮影結果を得るにはDCU5が必要となる。
Lightroomでもノイズの低減など基本的な効果は反映されるが、動体補正などは適用されない。
画質設計の更新
K-1 / K-1II / KF と同様にファームアップで「里び」「Gold」やSpecial Editionなどのカスタムイメージが追加可能。
個人的には「里び」と「九秋」がかなり好み。(九秋は一部のLimitedレンズ装着時のみ使用可能)
なお従来は「シャープネス / ファインシャープネス / エクストラシャープネス」の三択だった設定項目が二択に変更された。
エクストラシャープネスが統合される形で新しいファインシャープネスがデフォルト設定となった。
いずれも特定のノイズを強調してしまう癖があり、改良の結果統合に至ったらしい。
性能
光学ファインダー
K-3IIIの目玉である1.05倍の光学ファインダー。ほぼフルサイズ機の0.7倍に相当する。
撮影体験を大事にするというPENTAXの方針を反映したものでもあるが、他社を含めた従来のAPS-Cフラッグシップを超えるアイディンティティの一つとして打ち出されたものだと思われる。評価が分かれていたK-1のファインダーに対するアンサーでもあるのかもしれない。
透過液晶を採用しながらもK-3II比で10%明るさが向上しており、倍率も相まって非常に見やすい。MFのピントはK-1IIより合わせやすく感じる。
スペックだけでは伝わりづらい魅力でこれだけを理由に購入する人は多数派ではないかもしれないが、一眼レフの使用体験の根幹となる要素なのでここを妥協しなかったのはかなり高ポイント。
高速なレスポンス
全ての操作において反応が早く、処理に待たされる場面もないのでストレスが少ない。
従来機で時間を要する処理といえばリアル・レゾリューション・システムやHDRのような合成処理だったが、それらはもちろんのことちょっとしたボタン操作やカメラ内現像に至るまで処理速度が向上している。
従来機(K-1II)の欠点としてAFボタンを押してから実際にAFが動作するまでのタイムラグがあったが、この問題が解消されているのも地味に大きい。用途にもよるがK-1IIでは何度も細かくAF動作を繰り返すようなシチュエーションだとタイムラグが積み重なるほか、タッチの差でシャッターチャンスを逃す場面も多かった。
また、ボディAFのモーターもより高速なものに更新されている模様。甲高いモーター音は好みが分かれそうだが、多くのボディAF駆動レンズでAF速度が向上している(別記事にて検証)。
動体追従性能
従来より大幅アップとなる101個の測距点を搭載。過去のAPS-C上位機が27点、フルサイズが33点だったのに対して文字通り桁が一つ増えた。ただし高精度なクロス測距点の数は25点で据え置きとなっている。
測光センサーは従来の8.8万画素RGBから30.7万画素RGBIrとなり、こちらも大幅アップデート。測光センサーの情報から被写体を認識する機能は以前からあったらしいが、より細かく認識できるようになったことで動体の細かな動きや瞳の認識にも対応した。車や飛行機も認識していると思われるが、開発者の発言のニュアンスからすると鉄道は対象外らしい。鳥も基本的に対象外だが、背景と切り離されてよく目立つ構図であれば被写体として認識できる場合もある。
被写体認識の性能は撮像素子そのものを用いるミラーレス機の認識精度に比べると限定的で、たとえば被写界深度の浅いレンズで激しく動く人物を小さく捉えたカットにおいて頭部や瞳の位置まで確実に合焦するほどではない。ただし従来のPENTAX一眼レフと比較すれば十二分な性能で、前後の動きの予測精度やAF-C中の追従精度が向上している。
測距点とセンサーの改良によりAFの細かな制御が可能となり、AFカバー範囲も広くなったことで測距点オート×AF-Cの組み合わせがかなりまともに使えるようになった。
被写体を追従するには動作精度の高いPLMモーター採用レンズを使うのがベストだが、他の駆動方式のレンズも(モーターの動作速度で追える被写体であれば)歩留まりは向上している。
秒間12コマの連写速度
連写速度はAPS-C一眼レフトップの12コマ/秒。精密機械が高速で確実な動作をしていることがシャッターの感触からも伝わってくる。ミラー収納時間を短縮することで、連写中に測距センサーを動作させる時間を確保できるようになったらしい。なお最高速度で動作するのはAF-Sモード時で、AF-Cモードだと11コマ/秒となる。
UHS-IIの採用もありRAWの連続撮影枚数はK-3II比で39%増えている。しかし連写速度が45%増えているので連写の持続時間は僅かに短くなった。セレクトが大変なのでバッファを使い切るほどの連写はほぼしないが、本格的な動体撮影では物足りないかもしれない。
測距レバー
PENTAXでは初採用となったジョイスティック。測距点変更ボタン + 十字キーの操作はロスが多かったので地味ながら嬉しいポイント。測距点リセットもスティック押下のワンアクションで可能。
5.5段5軸手ぶれ補正
K-1で採用された5軸手ぶれ補正「SRII」の性能が0.5段分アップ。
さらに流し撮りモードも初めて追加され、機構の静粛性も向上している。SRIIIと言ってもいいかもしれない。
85mmレンズ使用時の数値なので、超望遠レンズではもう少し控えめな効果になる。
望遠との相性がいいカメラなのでやはりレンズ内SRや協調補正が欲しくなるところだが、今後の可能性に期待したい。
ver2.00 測距点追尾方法にType3を追加 / ピント感度設定を追加 / クロップ撮影可能コマ数の向上
ver2.10 ボタンカスタムに「Fx押し続け機能」を追加
追尾方法の選択やピント感度の選択肢が増えたことで、より被写体やシチュエーションに適した設定を追い込めるようになった。連続撮影可能コマ数が増えたことでクロップ機能の実用性も向上。
機能
スマートファンクション
右肩のサブダイヤル、通称スマートファンクションダイヤルが改良された。
K-1やKPに存在していた機能選択ダイヤルは「S.Fnボタン + 電子ダイヤル」の操作に置き換えられた。選択時にはファインダー下のアイコンが点滅し現在の機能が把握できるようになった。ただし点滅の遅さに加えてOVF内のアイコンの位置はカスタムできないため、5つの枠をフルに使う場合、液晶を見ずに素早く機能を切り替えるには熟練を要する。
野鳥相手だと1秒2秒のまごつきが許されないため、自分は2枠のみ使用してユーザーAFとドライブモードを割り当てている。
AFモードやドライブモードは自分が使うモードだけを割り当てることが可能。従来機だと「1コマ撮影→連続H→連続M→連続L(以下ループ)」といった具合で、回転方向を間違えると目的の設定に辿り着くのに手間取ってしまうのが難点だった。K-3IIIでは「1コマ撮影↔連続H」といった風に必要な機能に絞ったカスタム登録が可能で実用性がかなり向上している。
USB-C充電対応
USB-C充電もPENTAX機初採用。給電まで対応していない点は惜しいものの、噂によると特定のバッテリーでは給電動作もできるらしい(自己責任)。そもそものバッテリーライフも長いので、モバイルバッテリーとケーブルがあれば旅行でもまず困らなくなった。
一応USB経由で他機器への電源供給も可能。
GRIIIのように電池寿命が心もとないUSB-C対応機器の非常用電源と思えばまあまあ実用的かもしれない。
クロップ機能
m4/3相当で撮影できる1.3倍クロップに加え、ファームアップで1.7倍クロップも追加された。
画素が従来の2435万画素に対して2573万画素に増えているのでクロップ耐性はそれなりにあるが約1500万画素 / 約900万画素まで画素数が減る。K-1のAPS-Cクロップと異なりクロップしてもRAWデータの容量はほぼ減らない点に注意。
軽く検証したところRAWでは1.3倍クロップ(センサー使用面積約60%)で4〜5%、1.7倍クロップ(センサー使用面積約35%)で6〜7%ほどデータが軽くなる模様。クロップしても連続撮影枚数があまり増えないのはこの辺が理由っぽい。K-1のAPS-Cクロップとは根本的な処理が異なり、撮影中のデータそのもののトリミングは無駄な演算が必要になるので難しいのかもしれない。
ファームウェア更新情報によると、クロップ時は連続撮影可能コマ数も増えているとのこと。こちらも軽く検証してみたところ、クロップなしで27コマ、1.3倍クロップで29コマ、1.7倍クロップで33コマに増えた。
【撮影条件】RAW / シャッタースピード1/500s / ISO100 / AF-S / 中央測距点 【使用メディア】SanDisk Extreme PRO SDXC UHS-II (64GB)
※スロット1のみ使用、スロット2にカードを追加して同時記録(RAW・JPEG)、検証時はいずれの条件でも連続撮影可能コマ数には影響なし。
新設計UI
従来の機種から液晶のUIが大幅に変更された。
GRIIIからの移植だと思われる。実際、被写体追従のアルゴリズムなどもGRのものを共有しているらしい。
タッチパネル操作と縦スクロールメニューが大きな違い。
メニュー構成は従来比でもそれほど違和感なくまとまっているが、なかなか情報量が増えている。
動体追従まわりの設定やBluetooth接続、JPEG加工などは馴染みのない機能。
カスタムできる項目も格段に増えている点は喜ばしい。
ダブルタップで画像を拡大するポイントを指定できるのはピント確認の際便利。
ただ、カットされて地味に惜しいのは拡大倍率指定の項目。従来の「クイック拡大」にあたる項目がない。
厳密な確認でなければ100%(6.9倍)まで拡大しなくていい場面も多いので、2.8倍や4倍が指定できると良かった。
カットされたと思いきやちゃんと引き継がれていた機能もあった。複数枚のカメラ内RAW現像がそのひとつ。
従来は「1画像選択 / 複数画像選択 / フォルダー選択」のメニューが表示され、同一設定を一括で反映できた。
K-3IIIではプレビューのズームアウト表示(サムネイルが並んでいる状態)での画像操作ボタン(AE-L)で同等の操作が可能。
RAW撮影時に転送したいデータだけJPEG化したい時などに便利なのだが、気がつくまで1ヶ月ほどかかった。
ちなみにRAW現像操作のUIも、使い勝手は多少変われど相変わらず表示サイズが大きくて◎。
転送機能の改善
純正アプリ使用時の転送速度は従来比で爆速レベルに向上している。
以前は理由がなければスマホに送る気にならなかったLサイズも割とすんなり転送できる。
XSサイズならまとまった枚数でもそれほど待たされることがない。
しかも、カメラ内のL〜SサイズのJPEGを転送時にXSサイズに自動縮小することも可能となった。4K動画も、長回しでなければ割と実用的な速度で転送できる。
たまに接続に失敗することはあるものの、Bluetooth接続のおかげでアプリ側の操作のみでWi-Fi接続が可能になった。従来機のようにカメラ側でWi-Fiを有効化するステップは不要。接続中の自動転送も実装されている。
余談だが、純正の転送アプリはカメラ側を再生モードにしていると転送速度がなぜかちょっと上がる。
一部の機種でしか試していないがWi-Fi対応のGRやKシリーズの共通仕様っぽい。
大量の原寸JPEGや動画の転送時に待ち時間を少し短縮できる。
転送速度アップも含め、従来のソフトウェアの完成度を70点とすると90点ぐらいで高い満足度。
(これK-1に積んでの意)
アストロトレーサーType3
ファームウェアver1.40で初めて実装された機能。後にK-1/K-1IIにも追加された。
GPSを使用せず、予備撮影した画像から星の軌跡を予測して本撮影を開始する。GPSだと誤差が発生しやすい望遠レンズを用いた星野撮影で威力を発揮する。星の移動を検出できれば広角寄りのレンズでもある程度使える。
星空の面積が少ない星景撮影や雲が多い場面では正確に動作しない弱点もある。星空撮影にバリエーションを求めるなら、やはりO-GPS2の導入が望ましい。
K-3IIIおよびK-1/K-1IIでは、星景撮影に便利なアストロトレーサーType2も追加された。
マニュアルレンズのAvモード対応 / 絞り値記録機能
従来であれば、絞り環にAポジションのないマニュアルレンズはMモードのみで使用可能だった。
K-3IIIでは瞬間絞り込み測光に対応し、絞り優先AEが使えるようになった。
測光時間のタイムラグが発生するものの、Aシリーズのレンズとほぼ変わらない使用感。
また、撮影時に電子ダイヤルで絞り値を指定するとExifに数値を記録することができる。
もちろんレンズの絞り環と連動はしておらず、指定できる数値も「F1.0→F1.4→F2」と1段刻み。
カスタムで1/2段・1/3段刻みを選択できるとなお嬉しいが、レンズの絞り値ごとの特性を把握しやすくなった。
個人的にフィルム時代のレンズだとタクマーやMシリーズが好みということもあり、ナイスな改良点。
電子シャッター(サイレントシャッター)対応
ファームウェアver1.10で電子シャッターが追加された。
電子先幕シャッターと異なり、LV撮影時は完全な無音撮影が可能。
サイレントシャッターが使用可能な機種はKPに続いて2台目だが、一眼レフでは珍しいらしい。
K-1/K-1IIもファーム更新で電子シャッターに対応するが、電子先幕ではないのにメカ動作音が鳴る。
電子先幕シャッターも選択できればとは思うものの、搭載できないのにも理由がありそう。
1/16000sの高速シャッターが使用可能となるが、動体歪みとフリッカーは普通に発生する。
静かな現場で撮影音を抑えたい場合や、自然光下で明るい単焦点を使うときなどに役立つだろう。
動画/ライブビュー撮影機能の強化
もはやPENTAXでは据え置きが慣例となっていた動画機能だが、珍しくアップデートされた。
・4K 30pの動画撮影に対応
・電子式手ぶれ補正 → センサーシフト式手ぶれ補正に変更
手ぶれ補正機構の静粛性が向上したことでセンサーシフト式の手ぶれ補正が動画撮影時にも使えるようになった。ただしこの補正はあまり強力なものではなく、所謂コンニャク現象もそこそこ発生する。その他タッチAFも可能となり、PENTAXでは比較的まともに動画が撮影できるカメラとなった。
もちろん固定液晶、Log撮影やRAW動画への未対応、スローモーション撮影なしなど他社の動画撮影機能よりだいぶ見劣りするのが実情ではある。カスタムイメージの色味で撮影することが出来るので、あくまでPENTAXの色味に拘って撮りたい人にとっては楽しみ方が増えたと言える。
ちなみにライブビュー撮影の追尾AFもけっこう改善された。
従来機だと文字通り測距点が追尾するだけで、いちいち背面のAFボタンを押さなければAFが連動せずかなり使い勝手の悪い機能だった。K-3IIIは測距点の追尾に加えて、ピントが合っていなければきちんとAFが作動するようになった(追尾AFというとそれが普通のような気もするのだが)。被写体認識の性能も向上したので、迷子になった測距点が宙を彷徨うこともかなり少なくなった。
動画/ライブビュー機能全般、K-3IIIは従来の機種より扱いやすくなったと言える。これでフレキシブルチルトでも採用されていたらかなり変態で花丸だったのだが、もうしばらくK-1 Mark IIIが発売される可能性に懸けてみたい。
操作性のブラッシュアップ
既存機種から継承されたリーフスイッチ採用のシャッターボタンやモードダイヤルロックのON/OFFなど、最上位機らしい操作性がコストを惜しまず投入されている。ライブビュー切り替えはダイヤル式でKPに近い。バッテリー節約のために電源を落としてもすぐライブビュー撮影から再開できるので、個人的にはLVボタン方式より好ましい(従来なかったワンタッチLVがボタンカスタム機能に追加されたので、ボタン操作でのLV切替も可能)。
その他の細かな改良点、使い込まないと分からない良さなどのまとめ記事。
課題
マイナスポイントは固定液晶、2スロット目のUHS-II非対応、GPS非搭載など。
星空撮影の際やローアングル撮影で液晶を斜めから覗き込むのはアウトドアモニターを活用しても少々無理があり、アストロトレーサーを強みとするPENTAXとしてはせめてチルト液晶を採用して欲しかったところ。
GPSユニットなしでアストロトレーサーをフル活用できるコンセプトをK-3IIから引き継いで欲しかったが単体でもType3の使用は可能で、Bluetoothのスマホ連携によるGPSタグ付与も実用範囲。たまに連携し忘れるのでやはり内蔵GPSもあるに越したことはないが、そこまで不都合ではない。
片方のスロットしかUHS-II規格に対応していないため転送速度に差が生じているのも課題。
連写性能を保つには2スロット目を待機用かJPEG用にする必要があり、RAWでバックアップ運用ができないのが惜しい。
当初はUHS-II×2の想定で設計していたが、動作を安定させる事が非常に難しかったらしい。
発熱しやすい=熱ノイズが出やすい?(要検証)
基本的にK-3IIIの高感度耐性は歴代PENTAX一眼レフの中でトップクラスの性能となっている。しかし、たまに比較してみると一世代前のKPと同等かそれ以上にノイズが発生してしまうことがある。毎回そうとも限らないのだが、考えられる原因が熱ノイズ。
K-3IIIは夏日に電源オンのまましばらく持っていると、明らかに熱が籠もっている場合がある。従来機と同等のサイズを維持したままプロセッサの性能を向上させたことで発熱量が増えているのかもしれない。K-3IIIが本来の高感度性能を発揮していないように感じたのは実際夏日が多かったのだが、厳密な検証をしてみなければ分からない。
熱ノイズを疑う画質の低下も等倍比較時に主観レベルでわずかに疑問が浮かぶ程度のもので、通常のISO感度の範囲で一目瞭然の劣化が発生するというものではない。まだ検証不足であり、基本的に高感度性能に問題はないという点は強調しておきたい。
望遠レンズのラインナップ
まず前提として、K-3IIIの測距点の多さと被写体認識の優秀さ、精度の高さは他のPENTAX機よりかなり優秀。
なのでどのレンズを使用しても従来機に比べて歩留まりは向上するのだがPENTAXのレンズ群はAF速度に重きを置くものが少なく、K-3IIIのターゲット層となる野鳥・飛行機・スポーツ撮影者の要求に十分応えるにはやや物足りないラインナップとなっている。
DA★16-50PLMとDA55-300PLMは優れたAF速度で一応FF換算24-460mm程度までカバーしているが、逆に言えば標準域のコンパクトなレンズや重量級の望遠レンズはK-3IIIの追従性能に追いついていないのが実情。また、望遠側で重視されるレンズ内手ぶれ補正がKマウント純正では存在しない。
一応DFA100-400SR、DFA150-600SRに相当しそうな特許情報は存在しているが、ロードマップにも非掲載だったので製品化の可能性は低い。
他社フラッグシップ機と比べてどうか
多くの人が気になるのは他社APS-CフラッグシップであるNikon D500との違いだろう。
所有していないので厳密な比較はできないが動体追従性能はD500に分があるとしばしば言われており、その優位性は測距点のカバー範囲やバッファの余裕といったスペックにも表れている。D500ではないNikonフラッグシップ一眼レフ機を触ってみた印象としては3D-トラッキングがかなり優秀で、被写体が画面外に外れても食いついてくれることが多い。
K-3IIIは画素数やピクセルシフト機能を含めた解像性能、ボディ内手ブレ補正、アストロトレーサー、USB-Cなどの機能性が強み。僅かながらファインダー倍率も高い。
一方、D500もよりスペックの高いAF、高解像なチルト式液晶、K-3III比1.5倍のバッテリー持続撮影枚数を備えている。
動体性能では一歩か二歩譲り、それ以外ではいい勝負をしていると言えそうだ。
レンズの選択肢ではKマウントはコンパクトなレンズとAPS-C用大三元、Fマウントは大口径レンズや望遠域が強い。
D500は2016年発売で初値が23万円。K-3IIIは2021年発売で初値25万円。
K-3IIIは一眼レフ衰退期に登場したことに真価があるが、ファン以外への訴求力はもう一歩欲しかった印象もある。
APS-C一眼レフとしては間違いなくトップクラスの性能。
発売時期が並んでいたならD500ライバルとしてのポテンシャルはより高かっただろう。
| センサー 画素数 | OVF 倍率 | 最高 ISO感度 | 手ブレ 補正 | 連写速度 (秒間) | 測距点 (クロス) | 測光 | 液晶 解像度 | タッチ パネル | スロット | Wi-Fi BT | スト ロボ | USB 充給 | 動画 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| K-3III | APS-C 2573万 | 1.05倍 | 1600000 | 5.5段 5軸 | 12枚 | 101点 (25点) | 30.7万 RGBIr | 固定 162万 | ◯ | UHS-II UHS-I | ◯ ◯ | - | △ | 4K |
| D500 | APS-C 2088万 | 1.00倍 | 51200 (1640000) | - | 10枚 | 153点 (99点) | 18万 RGB | チルト 236万 | ◯ | UHS-II XQD | ◯ ◯ | - | - | 4K |
| EOS 7DII | APS-C 2020万 | 1.00倍 | 16000 (51200) | - | 10枚 | 65点 (65点) | 15万 RGBIr | 固定 104万 | ◯ | UHS-I CF | ◯ - | ◯ | - | FHD |
| EOS 90D | APS-C 3250万 | 0.95倍 | 25600 (51200) | - | 10枚 (11枚) | 45点 (45点) | 22万 RGBIr | 二軸 104万 | - | UHS-II | ◯ ◯ | ◯ | - | 4K |
外観

基本的な形状はK-3系の流れを汲んでいるが、厚みがスリムになった印象。
開発インタビューにある通りこだわり抜いたというグリップ形状は、少なくとも自分の手には理想的なフィット感。100g軽いはずのKP(Lグリップ)より少ない力でホールドできる感覚があるのは前ダイヤル下のくびれが大きいためかもしれない。
直線と曲線が組み合わされたペンタ部はせり出しが浅く、やはりK一桁機の中では一風変わった雰囲気を纏っている。大量のボタンが使いやすい場所に配置されており、操作性はかなり完成されたものとなった。
専用アクセサリー
D-BG8
未所有。
K-3IIIはK-3以降では電池寿命が最も長い機種で必要性はそこまで高くないが、フラッグシップなんだしちょっと欲しい。
動画性能も向上したし、USB-C給電には未対応だしで導入の口実は探せばあるもの。
あと超望遠レンズ使用時のバランス向上にもよさげ。
AF540FGZ
純正ストロボ。II型ではない旧製品のみ所有。
2軸可動で縦位置にも対応することができる。
正直使用頻度は少ないが、K-3IIIはストロボを内蔵していないのであるとたまに便利。
おすすめレンズ3選
HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8 ED PLM AW
HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR RE
HD PETNAX-FA 31mm F1.8 Limited
未所有レンズを入れるのもやや気が引けるが、DA★16-50PLMはレンタルで試してみて予算さえあれば間違いないレンズだと確信した。AF速度そのものはDA55-300PLMの方が若干早くて正確な気もするが、AF関係はむしろDA55-300PLMのほうがどうしちゃったのというレベルで良いので御愛嬌。Kマウント史上最高密度の画素となる2600万画素APS-Cセンサーの解像力を活かすならやはりスターレンズが欲しくなる。APS-C用としては大ぶりなレンズだが、グリップがしっかりしたK-3IIIとは相性が良い。
望遠枠は定番のDA55-300PLMだが、野鳥などより遠く小さいものを狙うのであればDFA150-450も有力な選択肢。そういう人もDA55-300PLMも結局お散歩やスポーツ用として使えるので両方揃えるとよいとされている。
単焦点はまず画角で選ぶべきだが、PLMズーム2本立てに加えるとしたら明るい標準枠としてFA31はイチオシ。より携帯性を重視してDA Limitedという手もあるが、開放からキレ味を楽しめるという点でFA31が第一候補となった。








