HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR RE
フォーカスレンズの軽量化とPLMモーター搭載で高速AFを実現した望遠ズーム。
FF換算84-459mmのズームレンジをカバーしながらもコンパクトな沈胴機構を採用。
防滴をはじめ機能面はもちろん画質も優秀で、この価格帯としてはかなり完成度が高い。
| 長所 | 短所 |
| メーカー内で最もAFが速い望遠レンズ 300mm以上のレンズとして最もコンパクト 十分に高画質でコストパフォーマンスが良い 接写に強い 防滴仕様 | F値が暗め 沈胴のひと手間 & 摩耗しやすいロック機構 電源オフ時にピントを動かせない |
画質
ズーム位置、フォーカス位置に関わらず一定以上の解像感。
F値は暗めだが開放から締まりのある描写で、細かいことを気にせずバシバシ撮れる。
絞りはボケ量の調整に使うことの方が多い。
ボケは口径相応のサイズで特筆する事は少ない。
しかし最短撮影距離が0.95mとそれなりに寄れるので、近距離では背景をボカすのも容易。
中距離以上の被写体だと背景の整理が必要な場面もある。
HDコーティングの逆光耐性はしっかりと発揮されている。
ゴーストはもちろん太陽に向けた悪条件下におけるフレアも光源周辺に現れる程度。
倍率色収差が多少出るが、鑑賞サイズで気になる事はほとんどない。
周辺減光・歪曲収差ともに軽微。補正はかけてもかけなくてもいいと感じる。
ハイエンド並の描写力かと言えばそこまで鮮烈ではないものの、優等生という言葉で済ませるのは勿体ないレベルで十分高画質なレンズと言える。
機能
特筆すべきはやはり圧倒的なAF速度と静粛性。
他社も比較対象に含めるなら正直普通に速い程度なのだが、PENTAXのレンズの中ではDA★16-50PLMと並んで最速クラス。動体撮影はSDM / DCモーター駆動のレンズでもある程度対応できるが、前後に動く被写体をAF-Cで細かく追従するようなシチュエーションでは高速高精度なPLMの特性が活きてくる。
従来のボディはもちろん、AFまわりが改良されたK-3 Mark IIIでは歩留まりの向上が顕著。ただしマウントは最新規格のKAF4なので、K-3やK-50よりも古い機種では電磁絞りが動作しない点に注意が必要。
マウント先端からレンズキャップを含めた長さと最大径はポケットティッシュ並のサイズに収まっている。300mmクラスの望遠レンズとしては破格のコンパクトさ。フード込みの重量も471gと優秀で、ボディバッグでも気軽にパッキングできる超望遠として唯一無二の使い勝手を有している。バランスの良い画質に加え取り回しの良さや長時間構え続けられるメリットもあり、1〜2kgクラスの本格望遠レンズとは別に所有しておく理由がある製品。
最短撮影距離0.95m・0.3倍の簡易マクロ性能も使い勝手を後押ししている。
動画撮影時のAF-Cに対応している数少ないレンズでもある。
数少ないデメリットとして沈胴機構を解除するためにワンアクション必要な点、電源が入っていないとピント調整ができない点が挙げられる。
フルサイズ機の場合、55mmまたは135mm以上でほぼケラレに近い周辺減光。
中望遠域では丸形にくっきりとケラれる。
55mmと135mm以上ではケラれる範囲が多くはないので、後補正ありきで使えないこともない。
・手持ちの標準レンズがないとき広角端で撮っておく
・FFとAPS-Cの中間程度にトリミングして画角に対する焦点距離(ボケ量)を稼ぐ
……あくまで非常手段的な考え方なので、フルサイズ用の55mmや300mmとしてはアテにしないほうがいいかもしれない。
まとめ
PENTAXで野鳥撮影、特に飛びものを撮るなら必携とも言えるレンズ(唯一の選択肢とは言ってはいけない)。そもそもPENTAXで野鳥を撮るのが物好きという説もあるが、その物好きの常用ウエポン。鳥に限らず野外の生き物探しが捗る。
遠くの被写体をより高精細に捉えるならDA★300やDFA150-450といった本格望遠レンズもあるのだが、近所のフィールドで記録用に常用するならこれぐらいのサイズ感が嬉しいというのが正直なところ。バズーカのような外観のレンズは住宅エリアや子供のいる公園だと使用が憚られるという理由もある。
広角レンズとの組み合わせ、またはサブにGRIIIがあると怖いものなし。
備考
HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW の使用
他社と比較して対応レンズが多いコンバージョンレンズ。
装着すると77-420mm F6.7-9.5の望遠ズームとして運用できる。
望遠端がかなり暗いがPENTAXで最もコンパクトに組める400mm超の望遠システム。
FF換算118-643mm相当の画角は野鳥のように的の小さな被写体向き。公式案内にもあるようにAF精度は微妙に低下している模様。AF速度の方はほぼ変化なし。シャープネスもマスターレンズに比べると曖昧になりやすく、F11-13程度に絞りたいところ。絞り込むと今度はISO感度が上振れしがちで結局画質が損なわれるケースも。
携帯性を含め通常用途ならテレコンをつけないメリットの方がやや勝るが、DFA150-450並の望遠が600g程度の重量で実現できるのは魅力的。リアコンとしては安くないが全体的にはお財布にも優しい。
耐久性
友人とレンズ交換していた際、友人がカメラを抱えたままうっかり雪山で転んでしまった。ちなみにこういうとき揉めないよう、故障した場合の金銭負担の配分は事前に相談している。カメラ機材の貸し借りはいざとなったら修理代が全額自分持ちになっても構わないぐらいの間柄でやるのが良い。
雪山の件はカメラを抱えた前転みたいな状況で、カメラ自体は接地してなかったような見えたが鏡筒に歪みが出ていたらしい。ズームにひっかかりが生じていたので修理に出すことに。目に見えるような画質の劣化やAFの動作不良は無かった。
鏡筒内にやや埃が溜まっていたのと、少し前から沈胴ロック解除ボタン(正確には望遠側から広角側に引いたとき、広角端からそのまま沈胴しないようロックさせる機構)が甘くなっていたのでついでに診てもらった。修理は部品交換と組み直しのみで元気になって返ってきた。
と思ったら2年1ヶ月後、沈胴ロック解除ボタンの不具合が再発。他所でもたまに聞く症状なので、このレンズのある種持病なのかもしれない。若干不便なので再度修理に出す予定。と思ったら(2度目)、さらに10日後に再び持ち出すとなぜか直っていた。なんなのさ。摩耗とかが原因なら再発するかもしれないけどいまのところ兆候はなさげ。とりあえずラッキー。
2024年6月現在、やはり沈胴機構のロック不具合が再発中。結構丁寧に扱わないと摩耗して甘くなるらしく、広角端にサッと引くとそのままレンズが引っ込んでしまう。埃もたまってきたし近々メンテに出す予定。
比較
SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO
フルサイズ用だが、近い画角をカバーする望遠ズーム。画質に定評のあるAPO版。
APS-C機で比較しても、近景の解像感や周辺の写りなどSIGMAの方がイメージサークルの余裕をやや感じる。
ただ、望遠端のコントラスト低下のせいか実写ではDA55-300PLMの方がクリアに感じることが多い。
また逆光性能においてはHDコーティングのあるDA55-300PLMが明確に上。
SIGMAも厳しい条件でない限りよく写るが、光源の位置によっては盛大にゴースト・フレアが出る。
ボケ感は同程度か、DA55-300PLMの方がやや綺麗で大人しい。
補正などの利便性も純正が勝るため、フルサイズ対応である点以外でSIGMAを選ぶ理由はあまり無い。
発売年が11年離れているので機能・画質ともにそれなりの差がある。
(純正でフルサイズ用小型ズームが出てくれればこの手の比較に悩まなくていいのは内緒)
AF性能、逆光性能、防滴、ボディ内補正、携帯性重視 = DA55-300PLM
F値、マクロ撮影、絞りリング、フルサイズ対応、価格重視 = ΣAPO70-300
smc PENTAX-DA★300mm F4 ED[IF]SDM Trial
HD PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6 ED DC AW
本格的な望遠レンズとの比較。
DA55-300PLMとDFA150-450を並べると、2段階進化したポケモンのような落差がある。
焦点距離の差を無視した解像性能としては
DA★300 > DFA150-450 ≧ DA55-300PLM の順で優れている。
300mmクラスで圧倒的な解像力とF4の使い勝手を発揮するのがDA★300。DFA150-450は55-300PLMの解像力やヌケの良さを保持しつつ1.5倍の射程が上乗せされる感じ。被写界深度もかなり浅くなる。
DA★300は特に古い個体でSDMの持病が発生しやすいのが難点。DFA150-450はピントの薄さ故にAF速度と精度がもっと欲しくなる場面が多いのに対し、DA55-300PLMはステッピングモーターの特性と被写界深度がそこそこあるおかげで歩留まりが良い。
表現の幅や画質の絶対値においてDA★300やDFA150-450が上回る一方、DA55-300PLMは安価かつ軽量ながら画質は並以上というバランスブレイカー。本格望遠レンズでしか撮れない画を優先するか、手軽さと汎用性を取るかの選択となる。
300mm超の望遠は必要とせず、クオリティの高いレンズが欲しい = DA★300
より遠い被写体をシャープに撮りたい、AFの寿命も考慮したい = DFA150-450
散歩感覚で気軽に長時間使える望遠ズームでベストな総合性能 = DA55-300PLM
他のAPS-C用超望遠ズームとの比較
300mmクラスの歴代望遠ズームを並べるとこんな感じ。
① smc DA 55-300 F4-5.8 ED
② HD DA 55-300 F4-5.8 ED WR ◀防滴化、HDコーティング化
③ HD DA 55-300 F4.5-6.3 ED PLM WR RE ◀PLMモーター、沈胴機構
どんどん名前が長くなっていく。呪文かな?所有しているのは三世代目のPLMのみ。
旧型のほうが鏡筒が若干細いものの、自転車旅で使うにはPLMのコンパクトさが際立つ。
機会があれば比較してみたさはある。
沈胴機構、電子化について
同じく沈胴機構を採用したDA18-50REに比べると使い勝手が向上している。
DA18-50REは、沈胴のロック解除ボタンが小さく鏡筒の作りもヤワだった。
DA55-300PLMはボタンの大型化と滑りの良い鏡胴のおかげで、解除が容易になっている。
普通のレンズより撮り出しがワンテンポ遅れるが、撮影中出しっぱなしにすればまあOK。
パワーフォーカス採用も共通点で、MFリングの反応も格段に良くなった。
おそらく、PLMはDC駆動と違ってギアの遊びがないため反応性の向上に寄与している。
電源オフでMF操作ができない点は人によって惜しい点。
余談として、絞り機構の不具合が起きたとき電磁絞りならちゃんと動くっぽい。
作例

PENTAX K-3 Mark III (試用機材) 1/2500s F11 ISO3200 300mm
PENTAX K-1 Mark II (APS-C Crop) 1/1000s F6.3 ISO400 88mm















