smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited
概念としてのLimitedレンズを体現した銘玉。
| 長所 | 短所 |
| ポケットサイズの携帯性 優れた解像力とコントラスト 独特な表現力 & 立体感のあるボケ味 アルミ削り出しの金属外装 | 用途によっては開放の癖が気になる QSF非対応など機能面が古め |
| おすすめの用途 風景 / スナップ / 旅行 / ポートレート | |
画質
開放からシャープな描写力。完全な補正でないにも関わらず自然に溶け込むようなボケ。
そのメリハリのおかげで被写体が浮き上がるような印象がある。
最大撮影倍率は0.16倍と低く見えるが最短撮影距離は30cm。
被写体に寄って背景をボカす表現も得意。
絞り込んだときの写りは現代的。フィルム用レンズとして発売されたとは思えない緻密さがある。絞りで描写が切り替わるのは収差の多いオールドレンズに見られる傾向だが、開放から被写体の質感をよく描いており緩い印象を与えない点が異なる。加えるとコントラストが高く逆光にもよく耐える。
開放で画面周辺部へとじわっと落ち込む周辺減光が見られる。
フィルム時代の設計だしデジタル機特有なのかな?と思いつつフィルム機がないのでその辺は不明。
最近の大口径レンズと描写が異なって見えるのは実はここもあるというか、ビネット効果が中央付近の被写体に存在感を与えているように思う。周辺減光を敢えて残すか後補正をかけるかは好み。
求める性能がマッチしなければ気になるであろう短所もいくつか。
明暗差の激しい画面で開放付近だと軸上色収差はそれなりに発生する。
フリンジが目立つ被写体のときは1〜2段絞るなど、使い分けが必要になる。
また、シャープと言っても開放はカリカリではなくやや滲みを含む。
ボケの階調は美しいが、玉ボケの形は口径食とも異なる不思議な形状。
一言で言えば、スペック的には必ずしも満点ではないが「印象的な写真を撮る」性能が抜群。
設計の妙なのか、官能評価とはよく言ったものだ。
コンパクトな設計と高画質を両立するというLimitedレンズのコンセプトを体現している。
機能
28mmと35mmの中間の画角は風景にもスナップにも丁度いい。フルサイズ機においてはAPS-Cクロップ(47mm相当)と使い分けると標準レンズ的な使い方もできる。APS-Cの範囲では周辺部の減光や収差がカットされ、より堅実な写りに。
そこそこ寄れるレンズなので、あまり動かないものなら小動物からテーブルフォトまで不便はない。駆動方式はボディ内モーターかつ全群繰り出し式のため、動体を積極的に狙うにはやや遅い。また、DA Limitedシリーズと異なりクイックシフトフォーカスには非対応。
Limitedレンズ共通のアルミ鏡筒とビルドクオリティはコレクション欲をくすぐる要素。被せ式のフードは着脱しやすいが厚ぼったく、外してる間置き場に困る場面がたまにある。それもあって旅先のどこかに置いたまま失くしてしまった。58mm径の汎用薄型キャップも装着可能で、試してみたら便利だったのでそのまま運用している。
レンズの癖として開放で色が滲む傾向やフリンジの発生があるが、色味を偏らせる系統のカスタムイメージ(ほのか・銀残し・里び・Gold)を使っていると目立たず相性がいいと感じる。
まとめ
何を撮っても大抵それっぽく撮れてしまう。以上。
FA/DA Limitedシリーズを色々使ってみて、解像力とボケ味の両立を重視するならこのレンズは筆頭候補と言って間違いない。絞り込めばシャープになるレンズは他にもあるし解像すればいいとも限らないが、開放からピークにかけて安定感の平均値が一回り高い。Limitedらしい空気感もあり、ただ実物を忠実に投影するだけに留まらない質感の良さが魅力。
印象的な写真が撮れるレンズなので、広角だがポートレートでも出番が多い。数を打つ戦法でいけば子供の写真もいい感じに。多少のモーター音に目をつぶれば被写体や公衆に対する威圧感もあまりないので、おでかけの供として気兼ねなく持っていける。
単焦点1本で旅に出るなら第一候補となるレンズ。
備考
固定フードの内径が制約となるためステップアップリングは使用不可能。
APS-C機装着時、ステップダウンリングを噛ませると49mm径のフィルターがほとんどケラれず使用可能。
58-55/55-52/52-49の三段重ねも特に問題なかったが、フード先端からフィルターははみ出してしまう。
Limited系のほとんどのレンズ間でフィルターの共有が可能となるので覚えておきたい。
余談だが、同じくAPS-C用に社外製のねじ込み式フードで遮光性をアップする改造(通称ウエポン化)も有名。
FA31の逆光耐性にそこまで問題を感じないのと、手でハレ切りすればいいかなということで検討はしていない。
実は購入後、二度地面にぶつけている。
しかも目に見える故障が無いのでなかなか頑丈っぽい。
履物も歩き方も十分注意していたが、アイスバーンの道は恐ろしい。一度目はストラップに下げていたボディごとうつ伏せに身体が覆いかぶさる形(腕でガードはした)。二度目は単体(薄型キャップ)とK-1II+タムロンA09が入ったショルダーバッグごと尻もちをつく形。
にも関わらず、軽くテストした限り光軸がズレたり方ボケしたりといった事は無いっぽい。修理に出そうにもAF不具合も解像感の低下も全く感じられなかったので、そのままとなった。フードは歪んでしまったのでほんの軽く叩いて直した。見た感じケラレや周辺減光のムラはなさげ。
金属鏡筒の信頼度がかなり高まった事案だった。K-1IIのマウントの耐久性も。
星空撮影に使える?
純正では貴重な、というか唯一F2未満の広角レンズ。
星撮りにどれだけ使えるかは気になるところ。晴れた日に近所で軽く試してみた。
ホワイトミストNo1使用
F1.8 / F2.8 / F4
K-1のセンサーにゴミがついてしまったのでひとまずAPS-Cでの検証から。
ステップダウンリングで52mm径のフィルターを使用しているがケラれてはいない。
F1.8:画面全体のパープルフリンジと周辺部に強い収差と減光。減光はF2で若干改善される。
F2.8:減光はおおむね解消されるが周辺の明るい星に乱れ。パープルフリンジも残る。
F4:周辺までおおむね点像になり、パープルフリンジも減少。
ゴミを取り除いたK-1IIでも2/3段刻みで。
F3.2:四隅に収差による像の乱れ。パープルフリンジは若干残る。
F4:APS-CにおけるF4の評価からそれほど変わらないが、周辺部の像は伸びる。
F5:F5.6まで絞っても四隅の伸びは変わらない、というか広角レンズ故の性格に思える。
52mmフィルターのケラレ確認用に撮ったフルサイズの絞り開放作例もあるが、ゴミも写り込んでいるので参考までに。
結論。開放F1.8は癖がやや目立ちやすく光学的に理想的とは言えない。周辺減光が気になるならF2.8、パープルフリンジが気になるならF4程度が目安。とはいえF1.8の明るさのKマウント広角レンズが貴重な存在であることに変わりはなく、必要に応じて使い分けるのがいいだろう。
明るい市街地での撮影だったが、アストロトレーサーType3も40秒の露光に難なく耐えた。
比較
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited Trial
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited Trial
FA31を購入してかなりハマったので試してみたFAリミテッド三姉妹の2本。
レンタルだがFA43を1ヶ月、FA77を3ヶ月使っていた。枚数としては350枚+1300枚。
好みに一致した順に
FA31 > FA43 > FA77
という順だった。
緻密さが際立つのはやはりFA31で、他2本の開放側はわずかに霞がかった雰囲気。
普通の大口径オールドレンズと異なり描写に芯があるのは共通。
ポートレートメインならむしろ良い効果を狙えるだろう。
FA43とFA77があまり寄れないレンズでもあった点、広角が好きという点で即購入には至らず。
APS-Cで使いやすいのもあって、万人に勧めやすいのはFA31。
FA43の携帯性には惹かれたしFA77もボケの質感が見事。
いずれも高い描写力を備えたコンパクトなレンズという点は一貫している。
揃えたいかと言われれば、正直すぐにでも揃えたい。
HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR Trial
フリートライアルでの短期試用。
FA Limitedに慣れていると流石にサイズは大きい。しかしフルサイズ対応の一眼レフ用超広角としては小型軽量と言って差し支えなく、描写性能も申し分ない。
FA31のパース感や被写体に寄って背景を大きくボカす立体的な描写感をさらに突き詰めたような特徴を持ち、FA Limitedの中ではFA31の描写特性に近い。F値は単焦点として見るとそこそこだが、色収差がよく抑えられているので開放側をかなり積極的に使える。
モーター内蔵で扱いやすくなったAF、防滴対応などスペック全般が現代的なものになっている。正直FA/DFA Limitedはどれも良いレンズなので、結局のところ選ぶ基準は画角の好み。
ジェネリックDFA★広角レンズことDG35Art。
Kマウントだと、F2を切るAF対応広角レンズは本製品とFA31のみ。
ボケや解像力は一級品、FA31に比べて収差が大人しめで2/3段ほど明るい。一眼レフ用の明るい広角レンズなので、開放だと周辺部の収差や解像力の甘さといった粗が無いでもない。それすら近年のレンズに求められる性能が過剰なだけで、正直これといった非の打ち所はない。付け加えると静粛性の高いHSMのおかげで対応できるシーンも多い。ただしAF速度にあまり差はない。
フード込みのサイズ重量はダブルスコアでLimitedほど身軽なレンズではないものの、中堅ズーム程度の大きさなのでDFA★系より扱いやすい。ここぞという場面できっちり結果を出すDG35Artと一年中連れていけるFA31はスペックが似ていても異なるジャンルの製品。
HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
APS-C専用のパンケーキ広角レンズ。FF換算32mm相当の画角が似ている点。
似通った画角とは裏腹に使い勝手は大きく異なり、ボケを活かして被写体を立体的に捉える性能はFA31の方が数段以上高い。風景撮影においても、DA21は絞り込んでも周辺部の画質が幾分柔らかめ。コントラストや逆光耐性は高く鑑賞サイズにおいて十分高画質だが、人によってはシャープネスに物足りなさがあるかもしれない。
光学性能ありきならFA31に分があるものの、DA21の長さは半分以下。
小型のAPS-C機と組み合わせてスナップ運用すると無類の使い勝手を発揮する。
smc PENTAX-FA 28mm F2.8 AL
FAシリーズのコンパクトな広角レンズといえばFA28もメジャーな存在。
撮って出しのレンズ補正にも対応していたりする。
より理想的なボケが得やすいのはFA31で、さらに明るさ、ピークの解像性能、逆光性能など多くの要素においてより優れている。しかしFA28はより広い画角、携帯性、中古価格などの要素で十分なポテンシャルを秘めている。
作例
カスタムイメージ:クロスプロセス
カスタムイメージ:里び
カスタムイメージ:クロスプロセス

























