HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited


DA Limitedパンケーキ三銃士(21mm、40mm、70mm)の広角枠。
一般的な28・35mmの中間にあたるフルサイズ換算32mm相当の独特な焦点距離を持つ。
コンパクトなボディと非常に相性が良く、スナップ撮影が捗る。

長所                  短所                  
ポケットサイズの携帯性
アルミ削り出しの金属外装
使い勝手のいい画角
単焦点としてはそこそこの解像感とボケ味
フード内側のフィルター径がマイナー
(フードを外せば49mmが使用可能)
おすすめの用途
スナップ / 旅行 / テーブルフォト / 風景


画質

単焦点らしい抜けの良い描写をする。パンケーキレンズということもあり切れ味やボケに特化している訳ではないものの、並の標準ズームの広角端よりキレを感じることもしばしば。

中央の解像力は開放から良好で遠景もよく写り、F8から回折の影響で徐々に低下する。周辺部の画質はおおむねF10がピークとなり、画面全体の画質のバランスを重視するならF5.6〜9あたりが適正。広角らしいパンフォーカスの風景撮影にも十分対応可能だが、平坦な遠景などを撮影すると周辺部の像が甘くなる傾向がある。おそらく非球面レンズ1枚で取り切れていない像面湾曲の影響によるもので、中心部のピントを遠景に合わせると周辺部ではやや手前にピントを結ぶ現象が発生する。撮影条件にもよるが絞り込んで被写界深度を深くするとある程度解消されるほか、近距離の立体的な被写体で気になるケースは少ない。

開放F値が控えめでどちらかというと大きなボケを得るために使うレンズではないが、最短撮影距離が0.2mとかなり短いので寄れる被写体なら十分カバーできる。撮影条件によっては開放で玉ボケの輪郭や二線ボケが無視できず、単焦点ならではのスムーズなボケ味が欲しい人にとっては期待を下回るかもしれない。とはいえ安価な高倍率ズームなどに比べると格段に安定した描写で、気になる時に絞り込むぐらいで運用としては問題ない。

色収差は開放からよく抑えられており、背景が明るくてもフリンジに悩まされる場面はほぼない。拡大すると周辺部でわずかな倍率色収差が見られる。開放の周辺減光は強めで、F4あたりから目立たなくなっていく。また樽型(陣笠型?)の歪曲収差があり、被写体や構図によっては歪みを感じる。口径食は開放から目立つほどではなく、円形絞りということもありF5.6でも玉ボケが角ばらない。

逆光耐性は良好。太陽を直に入れると流石に光源周辺のコントラストが低下するが、ゴーストはほとんどのケースで皆無かごく軽微。画角のギリギリ外に強烈な光源があると紫のフレアが発生することはある。そういったケースもフード装着でおおむね回避できる。

DA Limitedは企画内容的にサイズと価格をシリーズ内で統一しなければならない事情があったと思われ、広角系は明るさや収差の補正の面で割を食っている印象はある。サイズを踏まえれば十分高画質、しかし高性能単焦点のようなキレとボケ味の妙を味わえる訳ではないということで細々とした注釈はついてしまうが、これぐらいの写りの方が気負わず撮影を楽しめる気もする。


機能

LimitedシリーズではDA40に次ぐ抜群の携帯性。
鏡筒サイズはDA70と同等だが、切り込み式フードが薄いためDA21の方が1cmほど短い。

32mm相当の画角はK-1 + FA Limitedユーザーには馴染みのあるもので、パース感はあれど余計なものが写り込みにくい独特な塩梅。PENTAXの標準ズームには28mm相当のものが多いが、広角向きの風景だからといって必ずしもワイド端を使う必要はない、という気付きを得ることも。

開放から解像力が安定しているレンズはF5.6やF8で風景撮影にもしっかり対応できる傾向にあるが、このレンズは特に遠景で気持ちもう1段絞りたいという場面が多い。絞って使えば単焦点らしい良好な解像力を発揮する。

クイックシフトフォーカスに対応しており、ピントリングも丁度いいトルク感で操作感は良好。

モーター非内蔵のためAF速度はボディ側に依存するが、特別遅くはない。近距離や激しく動く動体には不向き。ボディ内モーターの駆動音のほか、AFが迷って最短と無限遠を行き来する際「カッ コッ」と大きめの音が鳴る。QFSでざっくりピントを合わせておくと回避しやすい。


まとめ

広角パンケーキという、KマウントのAFレンズで唯一無二のキャラクターを持っている。

サイズ、画質、F値にサッパリとした割り切りを感じるある意味DA Limitedらしいレンズ。広角パンケーキというメリットを失うぐらいなら中途半端な高画質化や大口径化は必要ない気がする。昨今は忘れられがちだが、軽量コンパクトは単焦点のもう一つの本分。

少々の大型化と引き換えに表現力に振り切ったDFA21も出たので、使い分けはより明確になった。

何を撮っても感動的な描写……とまではいかないだけで、常用レンズとして画質も十分に優れている。特に逆光耐性と色収差は平均値より良好。

KPやK-01のような小型APS-C機に合わせる広角スナップレンズとしておすすめ。


備考

MH-RBB43(付属フード)

DA21用の切り込みフード。ねじ込み式ではなくバヨネット式で、残念ながら他のレンズに流用はできない。内側にはねじ切りが施されており、43mm径のフードを装着可能。ややマイナーな規格だが、フードごとワンタッチで着脱できるのはちょっと便利かも。

MH-RG49(FA43 Limited用フード)

他のLimitedレンズのフードでは唯一ケラれず使用可能。

フルサイズの範囲で見比べてみると、どうもFA43用の丸型フードの内径はDA21のイメージサークルの縁をちょうどぴったりなぞる形になる模様。APS-Cの範囲できっちり四角く光をカットする専用フードの方が遮光効果は高そう。

専用フードはよりコンパクトでもあるので丸型フードをつけるメリットはあまりないが、49mm径のフィルターを使い回すことができる。見た目的にも全く違和感なし。

DAテレコン取付不可

HD PENTAX-DA REAR CONVERTER X1.4 AWは取付不可。
基本的に対応レンズが多いテレコンだが、このレンズの後玉はテレコン側に干渉してしまう模様。
敢えて広角レンズに使う必要性もないので問題は特になし。



比較


「コンパクトな広角撮影機材」という観点で色々挙げてみる。


smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited

コーティングと絞りの違いは一度検証してみたいところだけど未使用。
HD版は周辺画質が向上しているともっぱらの評判で、専用カスタムイメージも追加されている。
何気に価格差があるのでお手軽さ優先ならsmc版の中古入手もアリかもしれない。


HD PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limited

広角DA Limited仲間。

パンケーキレンズのDA21に比べると少し厚みを感じるが、一眼レフ用の超広角レンズとしては驚異的なコンパクトさにまとまっている。取り回しの良さではDA21が勝るが、DA15も広角で嵩張りがちなフードをうまく収納する機構を実現している。携帯性はほぼ同等と言って良い。

画質に関しては両者サイズと価格に見合った落とし所に落ち着いている感がある。DA15は周辺の解像力低下やボケの癖に関してDA21よりやや目立つところがあり、開放の描写は好みが分かれる。とはいえ単焦点らしいヌケや切れ味も垣間見えるレンズで、要するに過度な期待を持たなければ十分によく写る。

コンパクトな機材で超広角スナップを楽しみたければDA15、画角の使い勝手を含む安定感も欲しいならDA21がいいかもしれない。


smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited

フルサイズ機 + FA31はAPS-C機 + DA21とほぼ画角が一緒。
銘玉と名高い広角FA Limitedのジェネリック足り得るか?という点は気になるところ。
結論から言うと、表現の幅が重視される撮影ではFA31の方が数段高いレベル。
DA21の広角パンケーキという特性もまたスナップなどのシーンにおいてプライスレス。

検証結果

ボディはFA31にK-1II、DA21にK-3IIIを使用。
よく考えたらK-1IIのままクロップ撮影すればよかった。
おおむねFA31の最短撮影距離(30cm)で撮影。
FA31はsmc版なので、円形絞り採用のHD版とはボケ味が異なるかもしれない。

FA31 (F1.8) / DA21 (F3.2)
FA31の方が焦点距離が長くF値も明るいので、開放同士だと被写界深度に劇的な差がある。

FA31(F4.5) / DA21 (F3.2)
DA21の開放F値よりFA31をさらに1段絞り込んだことで被写界深度が近くなった。
ボケの固さは特に画面右上あたりで違いが見られる。

FA31(F6.3) / DA21(F4.5)
DA21を1段絞り込み、FA31もそれに合わせた。
DA21は少しボケが大人しくなった感じもするが、この手の背景はやはりFA31の土俵かも。

FA31(F1.8) / DA21(F3.2)
両者の最短撮影距離(30cm/20cm)付近で撮影
DA21で最もボケが大きく写る条件。
「寄ってボカす広角単焦点」としては十分楽しめるポテンシャルを持っている。

4つの条件で比較してみた。FA31もスターレンズのように収差を徹底的に補正した設計ではないが、ボケ味に拘ったレンズだけあって「直射光の当たる草むら」という厳しめの条件下でも自然な表現力を発揮している。DA21はそこまでボケ味に軸足が置かれたレンズではないが、コントラストがきつくない背景であれば必要十分な性能とも言える。



HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR   Trial 

20-40を除けばLimitedシリーズで唯一焦点距離が被る21mmの2本。
スペック的には以下の点で基本的にDFA21が上位互換。

・フルサイズ対応
・ボケの質感を重視した絵作り
・F2.4の明るさと2cm短い最短撮影距離
・ボディ内モーターより静粛性の高いDCモーター
・防滴仕様

ただしDFA21はLimitedシリーズ最大サイズ。フードすらDA21より一回り大きい。
ボディ込みで収まるバッグにはそれなりの容積が必要で、APS-C機とのバランスもやや重め。
DA21は日常使いを想定した携帯性と十分な解像力を両立している点で優れている。

DFA21はカスタムイメージSpecial Edition「夏天」に、HD DA21は「九秋」に対応。


HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8-4 ED Limited DC WR   Trial 

短期間の試用のみ。参考までに。

同じDA Limitedではあるものの、サイズ(長さ)は結構な差。DA20-40は1日つけっぱなしの30mm±10mmスナップレンズとして使い勝手が良い。DA21は一眼レフをよりコンパクトに持ち歩きたいとき、他のLimitedとの併用で特に威力を発揮する。

最短撮影距離はDA21の0.2m(最大撮影倍率0.17倍)に対してDA20-40は0.28m(最大撮影倍率0.2倍)。広角でグッと寄れるのはDA21だが、どちらも寄れなくて困る場面はそうない。DA20-40はパンケーキや明るさといった際立ったキャラ付けがないものの、開放から大人しく扱いやすい描写が長所。とはいえ広角〜標準域をカバーするズームは他にも色々とあるので人によっては出番が少ないかもしれない。

手元のキットレンズ等を21mm縛りで1日使ってみてズームが必要かどうか検討するのもアリ。


smc PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited
HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limited

DA21・40・70の3本はDA Limitedの中でもパンケーキサイズで使用感が近い。

DA21:最も寄れる。十二分なコンパクトさでAF音が僅かに控えめ。開放の性能はあまり高くない。
DA40:非常にコンパクトで開放から安定した描写。AF時の金属音が大きめ。FF使用可(非公認)
DA70:柔らかいボケ。色づきは出るが開放から悪くない描写、AF音がやや控えめ。寄りが苦手。FF使用可(非公認)

汎用性の21mm、携帯性の40mm、ボケの70mmといった感じの使い分けをしている。

smc PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited

APS-Cで標準画角の等倍マクロレンズ。DA Limitedの中で常用向きと言えば21mmか35mmになるが、35mmは描写の癖が少なくボケも素直なので持ち前の接写性能を存分に活かすことができる。パンケーキレンズの21mmに比べると多少存在感のあるサイズなので、画角の好み以外に携帯性の差も考慮したい。

FUJIFILM / XF 23mm F2 R WR

珍しく他社レンズとの比較。X-T30とXF23/2を借りてみたことがあったので。コンパクトな機材の準広角スナップがなかなか楽しく、実はこの体験からDA21を導入してみたという流れ。

価格はXF23/2がわずかに高いがF値が明るく防滴対応、ステッピングモーター採用でAFも高速とスペック的に有利。そしてボケも比較的なめらか。対するDA21は非常にコンパクトなのが売りだが、ミラーレスと比べるとボディが分厚いのでイーブンといったところ。なおどちらも金属鏡筒で、この点はよりアルミらしい質感でマットな塗装のDA21の方が個人的には好み。

XF23/2は上位のXF23/1.4の陰に隠れて評価が一段落ちるレンズらしいが、自分がXマウントユーザーであればとりあえず買ってしまうレンズだと思った。

GRIII

周辺減光があるぐらいで、あとはパーフェクトに近い画質の28mm相当APS-Cコンデジ。
画角は違うものの、スナップシューター的な立ち位置やセンサーサイズがある意味DA21的なので敢えて比較。

GRIIIはピントさえ合っていれば収差に悩まされることもなく開放から優れた性能。F2.8の口径とマクロモードを活かせば大きく美しいボケで表現の幅も広い。全群繰り出しでAFがゆっくり目なのは両者共通だが、DA21はボディ性能次第でそこそこ合焦が早く(K-3IIIで)AF-Cも無理なく使えたりする。

広角だと構図を詰めたい場面も多く、その点でファインダーのあるカメラは色々捗る。
やはり画質云々以前にコンデジか一眼レフかという違いが大きい。



作例

PENTAX K200D 1/1600s F3.2 ISO200 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/2000s F4.0 ISO400 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/125s F9.0 ISO100 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/500s F3.2 ISO100 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/60s F3.2 ISO200 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1.3s F3.2 ISO100 21mm
カスタムイメージ:銀残し

PENTAX K-3 Mark III 1/800s F4.0 ISO200 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/20s F11 ISO800 21mm
カスタムイメージ:銀残し

PENTAX K-3 Mark III 1/100s F3.2 ISO800 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/50s F3.2 ISO400 21mm

PENTAX K-3 Mark III 1/250s F11 ISO400 21mm