HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8-4 ED Limited DC WR
Limitedらしい質感表現に防滴と内蔵モーターが加わったショートズーム。
堅実すぎるスペック故に二の足を踏んでいたが、じわじわと所有欲をくすぐられて購入した。
派手な特色を持たないからこそ撮影者の工夫がよく反映されるレンズ。
| 長所 | 短所 |
| 安定した光学性能と質感表現 アルミ削り出し外装&ヘリテージデザイン 軽量コンパクト 静粛なAF 防滴仕様 | ズーム倍率が低い キャップがやや外れやすい 突出した長所がなく中庸的 |
| おすすめの用途 旅行 / スナップ / テーブルフォト / 登山 | |
画質
DA Limitedシリーズはコンパクトさと引き換えに画質に多少の粗が見られるレンズもあるが、DA20-40はいたって真面目で堅実な描写性能。同時にLimitedらしい味もあり、コンパクト標準ズームというジャンルのイメージを裏切るやや玄人向けのレンズ。
解像性能は良好。開放から中央付近でシャープな像を結び、絞ると周辺部〜四隅まで均一に解像する。中央はF8、周辺部はF11あたりがピークの性能。スナップだけではなく風景撮影に持ち出しても不満はない。
ボケ味やボケの大きさは上位の単焦点ほどではないが二線ボケや周辺の乱れがうるさく感じられることは少なく、このサイズのズームレンズとしては品の良い写りにまとまっている。玉ボケの多い背景では開放で輪郭がやや目立つことがあり、1段絞るとなだらかになる。普通に鑑賞する上でことさら目につくような粗ではないだろう。
HDコーティングの効果もあってか逆光には強くクリアな描写。特定のシチュエーションでコントラストが低下するようなこともなく、フードの浅さはあまり心配しなくしてもいいだろう。夕陽のように極端な光源が入っていると流石に赤みを帯びたフレアが発生するので過信は禁物。9枚羽根の円形絞りを採用しており、光芒は大人しい。
点光源を写すと周辺部でコマ収差や非点収差のような乱れが発生する。とはいえそこまで派手ではなく、1段絞ればそこそこ改善される。
軸上色収差は軽微。広角の周辺部では倍率色収差が少々見られる。歪曲は被写体によってやや目立つが、補正で対応できる範囲。
機能
Limitedシリーズ初の防滴対応・モーター内蔵仕様。
AF速度は速くはなくノイズもあるが、ボディAF式に比べて静粛性に優れる。
カバーする画角は「FF換算30mm相当の準広角から60mm相当の準中望遠」というなんとも説明のしづらい範囲。広角・望遠どちらでもなく「±15mm相当の画角調整ができる標準単焦点」と見なした方が話が早い。その意図もあってかズームリングはやや固く、自重で焦点距離が変わることはない。伸縮量は小さく、焦点距離30mmで鏡筒は最も短くなる。
過去のDA Limitedシリーズが防滴に対応してこなかったのは頻繁なレンズ交換を前提としているという説もあるが、DA20-40はしっかりWR仕様で長時間のつけっぱなしに向いており、そういう意味でも他のLimitedとは異なる用途を想定しているのかもしれない。
携帯性は良好で、特に重量はキットレンズ並に軽い。DA Limitedという先入観があるとシルエットの大きさは否めないものの、DAズームとしては最小クラス。前玉を保護する程度に留めた薄型フードも邪魔にならなくて良い。余談になるがこのフードはねじ込み式なので、ただ製造しただけではレンズに取り付けたときの刻印の位置がどうしてもランダムになってしまう。装着時にちゃんと刻印の角度がレンズ本体と揃うよう組み合わせを選別して出荷しているらしく、デザインにも重きを置くLimitedらしい拘りを感じる。
F2.8-4はエントリークラスよりほんの少し明るいもののスペックとしては控えめ。最短撮影距離は0.28mとそこそこ使いやすく、普通の標準ズームよりやや長い焦点距離でのF2.8なのでボケを活かした立体的な表現もある程度可能。画角の半端さもあり特定の用途での強みは持たないが、解像力不足やボケの癖、寄れなさに悩まされることもないので画角さえ足りていれば用途を選ばないレンズでもある。
デザインはDA20-40の大きな特徴で、オールドレンズを想起させるローレット加工が施されたズームリングが良いアクセントになっている。取り付けたカメラ自体が写真機然とした佇まいになり、低倍率ということもありズームしても鏡筒はほとんど伸びない。端的に言って見た目が格好いい。DAシリーズなので絞り環の省略は必然だが、企画段階で実装の有無は議論されていそう。
フィルター径がPENTAXでは珍しい55mm径。もうひとつ上の58mm径はDA55-300系やFA31といった人気のレンズに採用されているので、所有している人は55-58mmのステップアップリングを使えばフィルター代の節約になる。フードを都度着脱しなければならないのは少々手間。
まとめ
特化した強みを持たない一方、安定した性能と持ち出しやすさを備えた中庸的なショートズーム。
ズームとしては倍率が低く、ズームレンジも準広角〜やや長めの標準と保守的な範囲。F値は固定ではなく、比較的寄れるがマクロほどではない。ズームとしてはコンパクトだがLimitedレンズとしては大柄。一芸に秀でたレンズが多いDA Limitedシリーズの中では無難で半端な印象も持たれるかもしれないが、21・35・40mmの3本を交換なしでカバーできると思えば持っておいて損はない気もする。
撮った写真を後々見返すと必要十分な解像力と柔らかい表現力が丁度いいバランスで共存していて、やはり好感触。後補正やマスク処理など考えずに撮って出しで使おうと思えるレンズはやはり良い。
頻繁にレンズ交換ができない旅でほどよい対応力と単焦点のような機動力を両立したい場合、描写の安定感も相まってかなり有力な候補となる。このレンズを候補に入れる人にとっては外観もひとつの検討理由だと思うが、見た目で決めてしまうのもアリだと思う。
購入まで2度レンタルして試用していたが、このレンズは特定のシーンで大活躍するというよりは常に懐に忍ばせて何気ない風景をサッと切りとるような使い方が向いているので、結局所有することにした。スペック比では少々お高いけど365日使えば実質タダ。
今どき分厚いレフ機を持つからには大きなボケ、カリカリの解像力、極端な画角、高倍率の光学ズームなど数値的なメリットを享受したい気持ちもあるが、そういう「過剰さ」から一歩引いて写真が撮れるのが実はDA20-40の最大の特徴かもしれない。ロードバイクやMTBを乗り尽くしたあと買い物から輪行旅までカバーできる折りたたみ自転車に落ち着く、そんな感じではないだろうか(伝われ)。
備考
フルサイズで使える?
一応28mm付近ではフルサイズのイメージサークルでも使用可能。シチュエーションによっては24mm付近も使えなくはない。周辺部の画質やボケの癖に期待しなければK-1装着時に擬似的な広角域を稼げる。基本的にはAPS-Cの範囲で使いたい。
DAテレコンでイメージサークルを拡大すると全ての画角でケラれなくなりHD PENTAX-D FA 28-56mm F4-5.6 ED Limited DC WRといったスペックになるが、フードなしのDFA28-105/3.5-5.6より若干長くなるうえ重量も同等クラスになるのでやはり中途半端。マスター単体のクロップより若干広角になりカスタムイメージ春紅が使えるメリットも多少ある。
比較
HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited
DA20-40は21・35・40mmの3本分の役割を果たせるか?という観点で。
DA21(フルサイズで言うならFA31)の画角に慣れ親しんでいれば、DA20-40の広角端は必要十分なワイドさ。またDA21より全体的にしっかりとした画質。ボケもより綺麗なのであまり難しいことを考えずに撮れる。一方で倍率色収差の少なさ、最短撮影距離が8cm短く被写体に接近した広角らしい表現ができる点はDA21の長所。
DA35Macroは等倍マクロという際立った特徴があり、DA20-40も寄れない訳ではないが普通の標準ズームの使用感と大きくは変わらない。近接域であればフルサイズで広角マクロとして使用することもでき、遊びの方向性はがっつり異なる。APS-C使用時のFF換算50mm強という画角は汎用性が高いものの、画角を足でカバーできない状況や時間効率を考えるとショートズームの利便性も侮れない。
DA40はAPS-Cで使うと近接した被写体がやや苦手な画角と最短撮影距離。標準域にズームアウトできてDA40比で+12cm被写体に寄れるDA20-40は汎用性が高い。1段分のF値の差がどれだけ響くかは場合にもよるが、うちの場合室内で猫を撮るときF2.8は欲しくなる。DA40は鏡筒の短さ故かAFが迷うと「ガッッゴッ」と固い金属音が響く。DA20-40との静粛性の差は最も際立つ違いかもしれない。
まとめに記した通り、一芸に秀でたDA Limited単焦点に気持ちが持っていかれやすい側面もあるが、DA20-40は防滴やDCモーター以外に「ボケ味の良い20mm F2.8」「そこそこ寄れる40mm」など他のDA Limitedが束になっても敵わない要素も持っている。
HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR
スターレンズが更新されるまで長らくAPS-C用の高画質標準ズームとして定番だった製品。FF換算24mmスタートのKマウントレンズとしては最も倍率が高く、ズーム全域で信頼できる描写性能も両立している。画質的にはDA16-85の方がよりシャープ。ボケ味や逆光性能は拮抗している。
ツーリングに持ち出すなら広大な風景から遠近感が圧縮される中望遠までカバーしているDA16-85はとにかく汎用性が高く筆頭候補と言える。しかしスナップで日常的に持ち出すにはシルエットが大きく、特に広角用のフードが嵩張る。DA20-40は径が小さいのでパッキングしやすく、同じ容積であればもう1本何かに特化したレンズを持ち出せるのが便利。
DA16-85は5教科で高めの得点を出す優等生だとしたら、DA20-40は1つ2つ苦手科目を抱えつつも他教科でカバーされて平均点はDA16-85と同等、そんなイメージ。
HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE
コンパクトで倍率抑えめの防滴ズームレンズという共通点があるとかないとか。
HD DA18-50もコントラストが高くそんなに悪くない描写だが、DA20-40に比べると若干描写が甘めで倍率色収差なども出やすい傾向。ボケも少し固くなる。歪曲収差はどちらもそれなりに出る。屋内撮影もあるなら開放F値は明るいに越したことはない。
DA18-50は外観や構造強度がやや安上がりで電動式のMFの操作感にも辛いものがある。上位機との組み合わせでは、DA20-40の方がしっくりくるだろう。鏡筒の体積としてはDA18-50もDA20-40も然程変わらないが、沈胴式でより薄いDA18-50はちょっとしたスペースにボディごと収納できる。
予算があって広角が20mmで足りるならDA20-40、同等サイズのズームで18mmが必須ならHD DA18-50もアリ。
HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8 ED PLM AW
同じ標準ズームだが性質は全く異なる。
スペック的にはDA★16-50PLMが上位互換に思えるが、鏡筒やフードのボリューム感も倍以上あるので毎日持ち出せるレンズとは言いづらい。テーブルフォトなどをサッと撮影するにも大袈裟な雰囲気になるので、妥協なき光学性能を存分に発揮できる場面でこそ持ち出したい。スターレンズだけあってピントの合っている範囲は隅々までびしっと決まりボケも滑らか。
AF速度はPLMモーターの方が明らかに速く動体への食いつきもいいので、子どもを撮る機会が多いなど明確な理由があればDA★16-50PLMの優先度は高まる。









