HD PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limited
Kマウント最小・最軽量、FF換算23mm相当の超広角単焦点。
本体の小型化に加え、花形フードをスライド式にするなどフットワークを重視した工夫が凝らされている。
| 長所 | 短所 |
| アルミ削り出しの金属外装 Kマウント最小・最軽量の超広角 軸上色収差と歪曲が少ない | 単焦点としては暗くボケの癖も強め 周辺の解像感はそれなり ねじ込み式のキャップが使いづらい |
| おすすめの用途 スナップ / 旅行 / 風景 / テーブルフォト | |
画質
中心は開放でやや甘いながらも十分な解像感。1段絞ると格段にシャープになり、F8あたりでピークの性能となる。また開放における周辺像はかなり甘いので、周辺まできっちり撮影したい場合2段ほど絞りたい。
おそらく像面湾曲収差が由来していると思われる周辺部の解像力低下がやや目につく。ピント面が平坦になっていないように思えるが、これは絞り込んで被写界深度を深くすることである程度対応できる。四隅に多少の甘さは残るが、F13で周辺までおおむね均一に結像する。
開放でコマ収差が目立つ一方で非点収差は良好に補正されている。
歪曲が少なさはこのレンズの長所の一つで、気になることは滅多にない。
画面全体で均一な解像感を得るのはやや難しいレンズで、広角レンズの用途を考えると一癖ある。あくまで単焦点レンズに隙のないキレキレの描写を求めるならの話で、大画面で拡大したり引き伸ばしてプリントするのでなければ然程気にならないケースが大半だろう。
軸上色収差は少なくコントラストの高い被写体でも開放から撮れる一方、倍率色収差は少々残っている。倍率色収差はソフトウェア補正が容易なので、実用において気になる事はあまりない。
ボケ味はよく言えば個性的、悪く言えば癖が強め。開放の玉ボケは明瞭な輪郭を描き、二線ボケとしても現れる。絞り込むと大人しくなるが、もとが広角単焦点としては暗めのレンズなのでシーンによっては高感度頼みになりやすい。いっそ表現として受け入れてバブルボケ的な作品を狙ってみるのも面白いかもしれない。
円形絞りなので絞り込んでもボケが角張らず、F5.6〜6.3までは丸い形状が維持される。ボケの輪郭はF6.3程度で一段階大人しくなるので、ざわついた描写を避けたい場合は1段ちょっと絞るとよい。
機能
最短0.18mと接写性能に優れている。画質の項に書いた通りボケに少し癖があるので開放で寄って背景をぼかすような使い方だとシーンを選ぶかもしれないが、寄れなくて困るような場面は皆無。
かぶせ式キャップになっていることが多いLimitedレンズの中で珍しいねじ込み式キャップを採用している。これがなかなか曲者で、スピーディーな着脱は難しい。特に装着時は角度を合わせないとネジ山を潰してしまいそうなのと、前玉に金属製のキャップのヘリを接近させる動作が少々危なっかしい。49mm径の別売レンズキャップに替えてしまうのが安牌。
キャップそのものはデザインが良く、一見必要には見えない植毛処理がキャップ内面に施されている。ローレットの大きさやせり出し量も掴みやすさに配慮されており、前面にはPENTAXの彫り文字が施されている。総じて鏡筒の質感に見合ったものとなっていると言える。
スライド式の花形フードはこのレンズの目玉と言ってもいいかもしれない。超広角レンズは特性上フードなしだと性能が損なわれやすい上にそのフードも大型化しやすい傾向にあるが、DA15のスライド式フードはバヨネット式より遥かに早い展開収納が可能で、迷光を遮る効果もちゃんとある。全群繰り出し方式の鏡筒とフォーカスリングの隙間に器用に組み込まれたフードからは加工精度の高さが感じられる。
まとめ
DA Limited単焦点の5本目、最後発として発売された超広角単焦点。
同シリーズの単焦点の中では非球面レンズにEDガラスと特殊硝材が多めに盛り込まれており、DA Limitedらしいコンパクトさと超広角レンズとしての性能の両立を目指したことが伺われる。サイズと価格をシリーズ製品と横並びにしなければならない制約から高画質化は容易ではなかったと想像されるが、Kマウント最小の超広角レンズながら中堅並のバランスにうまくまとまっている。
風景用として扱いが難しくなる像面歪曲に加えて開放ボケのざわつき、単焦点として暗めのF値など多少の癖はあるものの、レンズ固有の強みも同時にあり長所を活かせる立ち回りを考えるのも楽しい。
備考
カスタムイメージ夏天
HD版のDA15はカスタムイメージSpecial Edition「夏天」のパートナーレンズ。
ギリギリ破綻しない強烈な彩度とコントラストでこれでもかと強調されるヌケ感が特徴。DFA21とDA15がパートナーレンズに選ばれたのは超広角であることの他に、彩度を強調しても色収差が目立ちにくいことも一因だったのではないだろうか。
色づくり的には「雅」や「風景」のカスタムでも近い雰囲気のものを作ることも可能(?)。
K-1、K-1II、K-3III、KFの対応バージョン以降のファームウェアで使用可能。
ステップアップリングを使いたい場合
組み込み式の花形フードは収納状態でも先端が約3mm突出しているため、フードの内径以上のフィルターやステップアップリングを装着することはできない。つまり基本的には49mmフィルター(外径51mm程度)より径の大きいリングを装着することは想定されていないのだが、厚さ3mmの49mm径保護フィルターなどでフィルター枠を継ぎ足すことで一部のステップアップリングが使用可能になる。
一部の、と書いたのはステップアップ後の径があまり大きくないとフィルター枠を外側へ逃がしきれず結局ケラれてしまうため。試した例だと「DA15 + 49mm保護フィルター(3mm厚) + 49-67mmステップアップリング(厚み1.4mm程度)」の構成でギリギリケラれなくなるが、ここから僅かに保護フィルターの厚みが増すだけでも微妙にケラれてしまう。
なお保護フィルター部分は要するに49-49mmのエクステンションの役目を果たせば何でもいいので、ちょうどいい厚みの不要なフィルターがあれば中のガラスを取ってしまうことで専用エクステンションが完成する。
スターレンズや大三元で天体用フィルターを使っている人はDA15にも流用できるかも。
ねじ込みキャップ余談
DA LimitedにはDA40やDA20-40のフードのようにねじ込み式パーツに文字が刻印されている製品が多い。近年の製品でいえばPENTAX 17の正面マイナスネジの角度が個体ごとにバラバラになっているように、ねじ込みパーツは組み付け時に装飾部の角度を一定に保つことが困難であることが知られている。
にも関わらずDA Limitedのねじ込みパーツはロゴなら水平に、レンズ仕様表記ならフードと本体の中心が一致するようになっている。噂によると、これは「組み付け時に水平になる or 中心が一致する組み合わせのフードやキャップを選別して完成させる」というまさかの力技らしい。実際、フードを紛失した人が単品購入したところ以前と角度が変わったという報告を目にしたことがある。
DA15のキャップはあまり使わないかもしれないが、選別済みの組み合わせになっているはずなので捨ててしまったり失くしてしまったりするのは少々勿体ないかもしれない。
フルサイズ機での使用
フードの収納/展開に関わらずしっかりケラれる。
高倍率ズームのようなケラれ方とは違いAPS-Cのフレームより若干余裕があり、最短撮影距離であれば2200万画素(19mm相当)、無限遠では1600万画素(22mm相当)のクロップ量でケラれなくなる。ちなみにK-1は内蔵のクロップ編集機能でちょうど22MP・16MPをサポートしている。
フレーム全域で解像する本気の風景用レンズというよりは気軽なスナップで本領を発揮するレンズなので、基本は1500万画素(23mm相当)でクロップしつつ時々画角を広げるような使い方をするのも面白いかもしれない。
DAテレコン取付不可
HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AWは取付不可。
対応レンズが非常に多いテレコンだが、このレンズの後玉はテレコン側に干渉してしまう模様。
DA15を21mm F5.6として使うよりもDA21を手に入れた方が早いので問題なし。
比較
smc PENTAX-DA 15mm F4 ED AL Limited
コーティング更新前の旧版。未所有なので光学性能については割愛。
光学設計やデザインはほぼ共通で、HDコーティングと円形絞りを新たに採用した。
ファームウェアの更新でカスタムイメージも追加され、画質も向上したらしいので予算があればHD版がお勧めしやすい。ただし旧版は夜景撮影時の光芒が派手ともっぱらの評判で、そういった演出力を重視したい人は旧版を手に入れるのも一択かもしれない。
HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8 ED Limited DC WR
DA Limitedの広角レンズ達。
リミズームはサイズも使い勝手も異なるが20/2.8のような感覚で使えるのでついでに。FF換算31mm前後は一部のPENTAXユーザーにはお馴染みの焦点距離。寄りすぎず引きすぎず、広角感はありつつ余計なものが写り込まない絶妙な画角。
とはいえ広大な風景から丁度いいバランスで景色を切り取るには勘と運が必要。要するに、DA15の超広角で撮っておいて必要ならトリミングするという考え方もありといえばあり。
性能の安定感は DA20-40 ≧ DA21 ≧ DA15
体感的な機動力は DA21 ≧ DA15 > DA20-40
という感じ。
DA15は小型超広角という一芸に突出していて、DA21やDA20-40は普段使い適正の高さが魅力。
HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR
フルサイズ用の21mm超広角。Limitedの中でも光学性能の安定感は最上級。特にボケ味。
DA15は6群8枚(非球面×1/ED×1)という構成だが、DFA21は8群11枚(非球面×2/ED×4/スーパーED×1)という超豪華な構成となっている。それは価格とサイズにもしっかり反映され、DFA21も超広角としてはコンパクトとはいえLimitedとしては大ぶり。防滴や内蔵モーターなど仕様も現代風にアップデートされているため使い勝手は明確に異なる。
近接撮影と自然なボケ味を重視するならK-1 + DFA21は圧倒的な実力。
取り回しを重視していくとなるとDA15のバランスの高さが際立つ。
16mmスタートの標準ズームと比べて。
使用したことがあるのはDA16-85とHD版のDA★16-50。
どちらもズーム全域の優れた画質に定評のある標準ズーム。
ズームの利便性を度外視して純粋に広角端の性能のみで考えると、DA★16-50PLMは解像性能、ボケ味ともにスキがない。ほとんどのシチュエーションでF2.8の並の単焦点以上の高い性能を発揮する。DA16-85はF値の暗さもありその領域に一歩及ばないものの、抜けの良さと癖のないボケ味はPENTAXのズームレンズの中でも上位。描写の扱いやすさで言えばどちらもDA15と同等以上のものがある。特に開放では性能差が如実に現れる。
ではDA15に優位性がないかといえばそんなことはなく、携帯性、特にフードが嵩張らない広角レンズという長所が際立つ。キレキレの描写かといえばそこまでではないものの、特性を理解してピントと絞りをコントロールすれば十分な解像力を得ることができる。
作例
PLフィルター使用
カスタムイメージ:里び
カスタムイメージ:夏天
カスタムイメージ:夏天







