HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR
高い信頼性と美味しいズーム域を備えており、実質的な小三元のポジション。
登山やツーリングで役立つワイドな広角から、パースを圧縮した中望遠まで広く対応する。
キットレンズから一段階グレードアップした描写を期待できる。
| 長所 | 短所 |
| 使い勝手抜群のズームレンジ 優れた解像力とコントラスト 防滴仕様 | 特になし (強いて言えばF値が明るくない) |
| おすすめの用途 風景 / イベント / 旅行 / ツーリング | |
画質
エントリークラスのレンズと比較して一皮むけた解像感。特に中央部は開放から描写が安定しており、絞れば一層シャープに。最近の高画素化したAPS-C機で使用してもその画素数を活かすことができる。ただし広角側の画面周辺は四隅に近づくにつれ収差の影響が大きくなり、絞っても中央部ほどの解像感には至らない。新世代スターレンズと比べると画質と利便性との折り合いをつけた側面は多少見られるものの、その利便性がKマウントレンズの中でトップクラスなのでつい大目に見てしまう。
HDコーティングらしいコントラストの高さと逆光性能もキレの良い印象に一役買っている。太陽に向ける厳しい条件でも光源付近がややフレアっぽくなる程度。
シャープな描写が印象につきやすいが、実はボケの癖も少ない。点光源では年輪ボケこそ見られるがエッジが目立つこともなく素直な部類。開放の玉ボケで見られる口径食も絞ったりズームすれば不自然ではなくなる。厳しい条件ではざわついた描写になることもあるが、この価格帯とサイズの製品としてはかなりバランスに優れた品質。
F値は一般的なズームレンズそのものなので、薄いピントで被写体を浮き上がらせるような撮影は難しい。0.26倍の最大撮影倍率を活かして被写体に寄ればボケを活かせる場面も。
広角端付近は倍率色収差が出やすいが軸上色収差はあまり見られず、倍率色収差が気になる場合は編集ソフトで除去が可能。開放かつ広角だと周辺減光はやや見られる。ケラレのようなタイプではなく、絞れば改善するので気になる場面は少ない。
機能
昨今はF4通しで24-105 or 120mm相当をカバーするズームレンズが中堅どころの標準ズームとされており、F値変動ではあるもののPENTAXではDA16-85が24-130mm相当のズーム域を担っている。
前玉径とフードがやや大きくカメラとしてはゴツくなるが、便利な画角と防滴仕様をきっちり備えている。個体差もあるが、鏡筒の太さもあってかズームの際は気密性を感じる。
DCモーターを内蔵しておりAFの静粛性は良好。ただし動画撮影時は内蔵マイクだと流石に音が入る。ボディ内モーターと異なりギュインギュインと鳴らないので体感的にAF速度も速いような気がするが、ピントが移動してからクッ、クッ、と精度を詰める動作にワンテンポ必要で意外とそこまで変わらなかったりする。AFが遅いレンズに比べると悪くないが、ポートレートの撮影テンポやスポーツ・動物のAF追従撮影には影響がある。
0.35mという広角レンズ並の最短撮影距離のまま85mmで被写体に接近でき、フードの影がかかりそうな距離感で簡易マクロ的な撮影が可能。最大撮影倍率は0.26倍。
まとめ
旅用のズームレンズとしてまず候補に上がる1本。台湾一周ツーリングは16-85 1本で完結できた。
高倍率のDA18-135と最高性能のDA★16-50の中間を埋めるポジションのレンズで、F値は変動するが小三元の標準ズームと同等の扱いになっている。超広角からFF換算100mm以上の中望遠までカバーするレンズはフルサイズのラインナップにはなく、もっぱら晴天下で浅い被写界深度も求められない風景撮影においてDA16-85は抜群の使い勝手。最近のボディは高感度や手ブレ補正の性能も良いので、F5.6の暗さもそこまでハンデにはならない。
前景や背景をふわふわにぼかすような撮影はフルサイズに譲るものの、そのぶん肉眼で見た景色を脚色なく(しかしシャープでクリアに)描くのは得意。ボケ味自体は良好なので表現力にも十分な幅があり、静粛なモーターや防滴性能も相まって弱点らしい弱点が見当たらないレンズ。
K-3 Mark IIIはAPS-C機で初めてクロップ機能を搭載しており、K-1よりクロップ耐性は低いものの1.3倍クロップで160mm相当の感覚で扱うこともできる。
耐久性
購入から約半年後、ポケットから落下させてしまった。
それまで使っていた小型ズームと同じ感覚で交換時にポケットインしていたが、大きいフードが出口に引っかかって手を滑らせたという。レンズ単体で腰の高さからの落下で、落とした場所はキャンプ場の芝生。硬くもないがそれほど柔らかくもない地面に、フード側から接地した。
発生した症状は ①モーターのギアが外れたような空回り音(AFが動作しない) ②光軸がずれてハイライトが滲んで写る ③フード割れ の3つ。修理では部品交換と組み直しで光軸ズレの改善をして貰った。意外だったが、フードは修理工場で交換できないので別途購入とされたこと。交換部品扱いではないのか。
滲みは多少改善されたが、逆光など光の強い条件ではやはりフレアっぽくなりキレの良さは失われてしまった。歪んだズームレンズはそう簡単には直せないということを学び、改めて新品購入。
流石に樹脂製ズームレンズということで、落下は一発アウトだった。
なお普通に使っている分には十分な耐久性。
| 発売年月 | 大きさ (径×長さ) | 質量 | 最短撮影 距離 | 最大撮影 倍率 | 駆動方式 | コーティング | フィルター径 | 絞り | 防塵 | 防滴 | QFS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2014.10 | 78×94mm | 488g | 0.35m | 0.26倍 | DC | HD/SP | 72mm | 円形 (7枚) | - | ◯ | ◯ |
備考
本家フードを装着した状態だと収まらないカメラバッグでDA16-85を使いたいとき用。大手家電ECで72mm径のちょうどいい広角用フードが見つからず、Amazonを彷徨っていたら売られていた。よく見る肉抜きが施された薄型の円形メタルフード。FF換算24mmでもどうやらケラれない。
売却
2025年11月売却。ツーリング頻度の減少とDA★16-50PLMの導入で出番が減ったことが主因。FF換算24mmスタート最高倍率の利点は大きいので、Kマウントで完結させる一本満足ズームとしては今でもオススメ。
比較
smc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL[IF] DC WR
APS-C用つけっぱなしズーム枠の双璧をなす高倍率ズーム。
小型軽量で200mm相当までカバーする18-135、画質重視でよりワイドな16-85、それぞれベクトルの異なる長所を持っている。AF速度や機能性はほぼ同等。登山に持っていくなら16-85の広角が活きるし、一方で少しでも軽くしたい人には18-135が適しているかも。
16-85は望遠端を含むズーム全域で解像力が安定しているのでトリミング耐性も比較的高く、K-3IIIにおける1.3倍クロップ(170mm相当)までは違和感なく使える。携帯性を重視しないなら基本的に16-85は安定の選択肢。
HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE
HDコーティングと控えめな倍率という意味ではある意味近い。
しかしDA16-85と比べると3倍ズームは対応できるシチュエーションは限定的。
画質的にはコントラストの高さなどは意外にも近い。
ただし色味や逆光性能などの話なので、解像感という点ではもう一歩。
DA18-50REはコンパクトさが強みでもあり沈胴式の動作が弱みでもある。
プラマウントやピントリングの操作感、鏡筒のガタなども気になる人は気になるだろう。
キットレンズからのアップグレード先としてはDA16-85か★が順当に思える。
脱エントリー枠かつサイズ感が近いレンズとしての比較。
F2.8通しで大きなボケが得られ、シャッタースピードも稼げるのが特徴。
ただしコンパクトな設計故かボケの質は固い傾向。
全体的にDA16-85の方がボディ側の補正・逆光耐性・防滴・クイックシフトフォーカス・ズーム域など色々有利。
広角を活かしたい場合16mmと17mmの差も無視できない部分。
smc PENTAX-DA 17-70mm F4 AL[IF]SDM Trial
レンタルで短期間試用したのみ。SDM停止寸前の個体だった。
カバーする画角は16-85より狭いが使い勝手はほぼ同等。描写は特に開放において柔らかめで、好みもあるがメリハリを感じるのは16-85の方。機能面でも防滴仕様とAFの耐久性から16-85の方が優れている。サイズ感はほぼ同等。
F4通しは17-70の長所でボケ味も良好。手ブレしやすい望遠側で1段分のシャッタースピードを稼ぐことができる。ただし特定の条件(広角かつ中距離の撮影?)において開放でも玉ボケが角ばることがある点には注意が必要。F値通しの設計によるものと思われる。
HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8 ED PLM AW Trial
2021年にリニューアルされた大三元標準ズーム。
AFの反応性と1段階以上優れた画質、F2.8の明るさでスペック的には優位。一方でDA16-85は価格と性能のバランスが高くサイズもひと回りコンパクト。逆光にはどちらもよく耐えるがDA16-85の方が若干ゴーストが出にくいかもしれない。
望遠端はそれぞれFF換算で75mmと130mm。中望遠の入口と出口にあたり、ズームレンズとしての対応力には差がある。DA★16-50は望遠端でも被写界深度が浅いので、K-3 Mark IIIの1.3倍クロップ(マイクロフォーサーズ相当)でFF換算100mmの画角として使っても立体表現は保てる。
ツーリングや登山ならDA16-85、単焦点並のキレ味や天体撮影における性能を求めるならDA★16-50に分がある。















