smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited Trial
絞りで描写の性格をコントロールするのが楽しいパンケーキレンズ。
どこか懐かしい、しかし芯のあるふわっとした質感表現が得意。
43mmという独特な焦点距離は誇張のない範囲で広く扱いやすい。
| 長所 | 短所 |
| ポケットサイズの携帯性 小型ながら単焦点らしい描写性能 Limitedらしい独特な表現力 アルミ削り出しの金属外装 | 開放の描写はやや癖がある QSF非対応など機能面が古め 接写はやや不得意 |
| おすすめの用途 スナップ / 旅行 / ポートレート / 風景 / テーブルフォト | |
画質
1ヶ月のみの短期試用。
パンケーキレンズとは思えない大口径と光学性能のバランスが特徴。
開放の描写は柔らかく、現代基準だと甘いとも言える。しかしピント面を緻密に捉えるので立体感のある表現。絞ると遠景まで細かく描くことができ、風景撮影でも高いクオリティを発揮する。コントラストや色乗りも優れており、設計された年代を加味すると脅威的。
開放での周辺減光は条件次第だがさほど見られない場合も多く、画面に安定感がある。ピント面前後に色づき(軸上色収差)が見られることがあるが、開放でも特段目につく派手さではない。開放の口径食はギリギリ尖らない程度のレモン型。
パンケーキサイズなので威圧感がなくポートレートにも扱いやすいが、開放かつ中距離で奥に枝葉や玉ボケが多いような条件だとボケの癖が気になることもしばしば。大人しい方が良ければ1段絞るのもあり。
用途
パンケーキレンズだけあってお散歩スナップに最適。
43mmの画角はフルサイズだと自然な視野範囲、APS-C(66mm相当)だとより注視した範囲の捉え方になる。
パースや圧縮効果といったハッタリがない反面、誇張のない画角とも言える。
抜けの良さと絞ったときの繊細な描写力は風景撮影でも十二分に発揮される。
ボディ内AFの動作は遅くも速くもなく、動体を積極的に狙うのでなければ実用レベル。
この駆動方式に慣れている人であれば聞き慣れた音量のモーター音が鳴る。
最短撮影距離は45cmとそこそこ長い。
昆虫など小さな被写体やテーブルフォトでは少しやきもきするかもしれない。
余談だが薄すぎない鏡筒とコンパクトなフードのデザインが可愛らしく、K-1やKP、K-01のような大抵のボディと組み合わせてバランスもシルエットも非常に様になる。
比較
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 AL Limited Trial
FA43とFA77をレンタルで試用してみたのは、FA31が自分にどハマりだったという経緯から。
FA Limited三姉妹とも呼ばれる三本の中で、FA43は開放からの画質が比較的安定している。
ただし安定というのは主に周辺減光と軸上色収差の話で、解像感に関してはFA31の実力が頭一つ抜けている。
ポートレートの定番画角で背景を美しく分離できるのはFA77の特権。
FA43は前述した安定感と汎用的な画角、そして別格のコンパクトさが強み。
FA43は1ヶ月、FA77は3ヶ月使っていた。枚数としては350枚+1300枚。
好みに一致した順に
FA31 > FA43 > FA77
となり、手元に置くことにしたFA LimitedはFA31のみ。
標準より広角 or 望遠どちらかに振れたい、という好みの問題が決め手となった。
カスタムイメージSpecial Edidion「九秋」が刺さる人はHD FA43も候補に入れたいところ。
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 XS
出自は異なるがFA43と焦点距離が近く、更に薄いパンケーキレンズ & ビスケットレンズ。
APS-C用レンズだが細かいことを気にしなければフルサイズでも使える。
APS-Cの範囲での総合的なクオリティは
FA43 Ltd > DA40 Ltd ≧ DA40XS
といった塩梅。
ボケを活かした画作りではFA43がかなり優位だが、DA40は開放からシャープで描写の性格自体が異なる。
DA40系はマウントにつけたとき、一眼レフのグリップからほぼ飛び出さない厚さ。
さらにDA40 Ltdはフジツボフードが前玉を保護してくれるおかげでラフな扱いに向いている。
FA43も携帯性に優れるが、一歩譲る形となっている。
価格や扱いやすさも含めるとクイックシフトフォーカス対応のDA40 Ltdは非常によく出来ている。
フルサイズだとDA40系は周辺画質やボディ側補正など制約がつきまとい、本気の撮影には不向き。
少しでもFA Limitedが気になるならFA43の方が満足度が高いだろう。
APS-Cセンサーの対角線長はほぼ28mm。
PENTAXが唱えるFA43理論でいくとFA28はAPS-C版の「真の標準単焦点」となる。
ボケを始めとした表現力の幅、携帯性、金属鏡筒など多くの点で面白い体験ができるのはフルサイズ + FA43の方かもしれない。しかしAPS-Cメインで使っている人がちょっと広めの標準単焦点を求めるならFA28を選んで何の問題もない。
AFつきでコンパクトな43mm相当のレンズはFA28 SOFTとSIGMAのDG28/1.8EXを除いて唯一の選択肢。
HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limited
DA70×フルサイズ(70mm)とFA43×APS-C(66mm相当)も画角が似ている。FA28と逆のパターン。フルサイズの70/2.4とAPS-Cの43/1.9を並べると、やや乱暴な計算だがボケの大きさが似ているのも面白い点。どちらもパンケーキレンズで、HD版はカスタムイメージ九秋に対応。
パンケーキ中望遠として見るとどちらが面白いかという観点で。
FA43の描写特性である周辺減光はAPS-Cだとカットされるのに対して、DA70はイメージサークルの縁まで使うので減光が強まる。個人的には後者の方が効果としては面白い。また、強い光源の周りに生じる色収差はDA70の方が大人しくなる傾向にある。一方で風景撮影などのクオリティを求めるなら、DA70×フルサイズは絞り込んでも四隅が流れるので理想的ではない。
好み次第と言ってしまえば身も蓋もないが、中望遠単としての楽しさで言えば個人的にDA70に1票。













