smc PENTAX-FA 28mm F2.8 AL
隠れスターとも呼ばれるほど光学性能に定評のある広角単焦点。
フィルム時代後期のFAシリーズでありながら、歪曲や収差のボディ内補正に対応している。
プラ製鏡筒には賛否もあるが185gと非常に軽く、日常使いにも便利なコンパクト単焦点。
| 長所 | 短所 |
| 軽量コンパクト この世代では珍しくボディ内補正対応 絞り環での操作が可能 | 逆光にやや弱い プラスチック感が強い外観 |
| おすすめの用途 風景 / スナップ / 旅行 / テーブルフォト | |
画質
開放の周辺部は柔らかい描写だが中央のピント面は十分シャープで、遠景でも問題を感じない解像力。コントラストの高い箇所で僅かにフリンジが発生するが、鑑賞サイズでは気にならない事が多いだろう。1段絞るとハイライトの滲みが減少し、2段絞ると周辺部も引き締まってくる。
開放では目立つ周辺減光もF5.6程度でほぼ解消される。画面全体のシャープネスはF8〜10あたりがピーク。
ボケ味はこのサイズの単焦点としては良好で、明るさはほどほどだが近接撮影では立体感のある描写を存分に楽しめる。木漏れ日など背景に強めの点光源が多いと輪郭が明るく色づいた玉ボケとなりやすく、条件が厳しいとうるさく感じられることも。F5程度に絞るとざわつきにくい。
購入した中古の個体の前玉にある拭き残し、あるいはコーティングの劣化が一因かもしれないが、光源の角度によってうっすらフレアが発生することがある。一方で太陽のように強い光源に向けてもほぼゴーストは気にならず、年代を考えると逆光性能はそこそこ良好。
かつてのレンズ総合カタログで「スターレンズ並の性能を獲得」と紹介されていただけあり、1991年発売のレンズとしてはかなり優秀な性能と言える。開放から緻密でクリアな描写という訳ではないが、ほんのり乗る柔らかさが刺さる人もいると思われる。
機能
FAシリーズなので絞り環がついており、古めのフィルムカメラでも絞り操作が可能。
逆にクイックシフトフォーカスや防塵防滴といった現行に多い機能は採用されていない。
かなり昔に生産完了した製品だがボディ内補正機能に対応しており、JPEG撮って出し時に歪曲・色収差・回折など諸々の補正を適用できる。
AF時のギア音はそれなりに大きく、最短と無限遠を行き来するときなどはカッコンカッコンと音鳴りがする。全群繰り出しかつボディ内モーター駆動ということで爆速とまではいかないが、用途にもよるが速さは十分実用的。
最短撮影距離30cm、最大撮影倍率0.13倍と可もなく不可もなく、通常用途では不満のない接種性能。
まとめ
執筆時点で発売から33年が経過しながらも、ほぼ現行品のような感覚で使える気軽な広角単焦点。ボケも解像力も及第点以上で、外観さえ更新すれば現行品として再販してもいいのではと思えるほど。
望遠レンズ運用時の控えとしてバッグに忍ばせたり散歩用として常用したり、携帯性は多くの場面で活きてくる。逆光でフレアが発生することがあるのでフードも装着したいところだが、専用品の角形フードは嵩張るので一長一短。
備考
フィルター径49mm
PENTAXの特にLimitedレンズを揃えている人にとって49mmというとフィルターやフードの使いまわしが魅力的な規格。ただし、広角だけあってLimitedレンズ用の49mmフードは全てケラれる。
PH-SB49など広角に対応したフード(主に角形)が必要。
DAテレコン取付不可
HD PENTAX-DA REAR CONVERTER X1.4 AWは取付不可。
基本的に対応レンズが多いテレコンだが、このレンズの後玉はテレコン側に干渉してしまう模様。FAシリーズは特に広角系で非対応製品が多いが、テレコンを使いたくなりそうなFA80-320も取付不可となっている点に注意。
比較
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited
コンパクトな広角レンズという共通点のあるレンズ。
FA31は28mmと35mmの中間という絶妙な広さが特徴のひとつ。
単純にF値が一段以上明るいということもあるが、F値を揃えて比べてもボケ味はFA31の方が柔らかく理想的。絞った際のFA28の解像力は十分優れているが、同じ絞りで比較した際のわずかな周辺の緩さなど、総合的に見てFA31ではさらにクリアな画質を見込める。短いながらコンパクトな一体型フードのおかげで逆光性能も上回っている。
中古でFA31とFA28どちらを買うかと言われたら前者を推したいが、より広い画角、携帯性、価格などを加味してFA28も前向きに検討できる選択肢。鏡筒の太さはほぼ同等だがフード込みのFA31の体積はFA28のおよそ倍となり、カメラに取り付けた際の取り回しや収納性も多少変わってくる。
ここだけの話、FA28がこのサイズ感のままLimited調の金属鏡筒で再販されたりしたら評価がぶち上がる予感。
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited Trial
APS-Cセンサーの対角線長はほぼ28mm。
PENTAXが唱えるFA43理論でいくとFA28はAPS-C版の「真の標準単焦点」となる。
ボケを始めとした表現力の幅、携帯性、金属鏡筒など多くの点で面白い体験ができるのはフルサイズ + FA43の方かもしれない。しかしAPS-Cメインで使っている人がちょっと広めの標準単焦点を求めるならFA28を選んで何の問題もない。
AFつきでコンパクトな43mm相当のレンズはFA28 SOFTとSIGMAのDG28/1.8EXを除いて唯一の選択肢。
HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited
APS-Cボディにおける比較。32mm相当と43mm相当で画角はがっつり異なる。
より現代的なクリアでコントラストの高い描写や逆光耐性を求めるならHD DA21、画面全体の均一なシャープネスやボケの美しさを求めるならFA28が有力。画角で選んでしまえば……と言ってしまうとそこまでだが、コンパクトでもなめらかなボケ味を期待して単焦点を検討する人も多いと思うので描写特性の違いも確認しておきたい。
FA28も十分コンパクトだが、DA21はパンケーキサイズということでさらに持ち出しやすい。
HD PENTAX-D FA 28-105mm F3.5-5.6 ED DC WR
K-1所有者なら結構な割合で使っている/使ったことがある定番の標準ズーム。
広角端の性能は28/2.8と28/3.5で大差ないようにも思えるが、FA28は2/3段の明るさに加えて最短撮影距離も20cm短くなるので撮影の幅はグッと広がる。解像力や発色はどちらも良好だが、逆光耐性や防滴の差でDFA28-105の方が万能選手ではある。
DFA28-105の広角端をよく使っていて単焦点にも手を出してみたい人向け。
歴代の28mm単焦点
所有していないので実際の使用感、光学性能の詳細については割愛。
Mシリーズ、Aシリーズ、Fシリーズの28mm F2.8はいずれも7群7枚で、Mシリーズ前期型のみ少し光学系が異なる模様。当時としては最新技術だったハイブリッド非球面レンズを採用しつつ5群5枚としたのがFA28/2.8で、「スターレンズ並の高性能を獲得」ともカタログに記載されていた。
外観の好みでM/Aシリーズを選ぶ手もあるだろうか。





