smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited.  Trial 

ポケットに収まる描写力満点の中望遠単。
並のズームや単焦点では出ないような立体感を捉えてくれる。
ただ緻密なだけではなく、癖を味に昇華する概念を体現しているFA Limited。


画質

3ヶ月程レンタルしたのみなので参考までに。

コンパクトさ、明るさ、ボケ味のバランスが高いレベルに纏まっている中望遠。

開放は柔らかく絞るとシャープで、これ自体は設計が古めのレンズに多い傾向。つまり開放からカリカリに写るレンズではない。しかしフィルム時代の一般的なオールドレンズと異なり、ディティールは損なわれず質感描写は緻密。ほかのFA Limitedの例に漏れず色乗りも良い。

開放側だと明暗差の激しい部分ではしばしば色収差が暴れがち。シチュエーション次第では気にならないものの、厳しい条件で盛大に出るとサムネイルのサイズでも色づきが分かる。現像ソフトで取り除き切れないケースもあるので、避けたい場合は絞り込むのが吉。

そこに関してはレンズに癖があったらあったで楽しめる人向け。中距離の被写体を捉えたときの立体的な描写はズームレンズや並の単焦点では出せないもので、あまり臆病にならず積極的に開放を使いたいレンズでもある。

玉ボケには口径食が見られ、絞るとボケは角ばっていく。画面全域がスムーズにボケるとは限らないが、煩さとして感じられることは妙に少ない。逆光にそれほど強い訳ではないが、光源を入れたらすぐゴーストが出るようなレンズに比べると扱いやすい。

機能

F値が2を切る中望遠レンズとしては破格のコンパクトさで、質量はわずか270g。スライド式のフードも携帯性の高さに貢献している。フィルター径は49mmとLimitedレンズに多いサイズで、お手頃な価格でフィルターを揃えやすい。

最短撮影距離0.7m、最大撮影倍率0.14倍でマクロ性能はあまり高くない。スナップやポートレートを想定したレンズなので、マイナスというほどでもない。

フォーカスリングも適度なトルク感で、金属鏡筒の質感も良い。数あるLimitedレンズの中でもFA77はガラスの塊感がしっかりと感じられ重厚感がある。ピントの浅いレンズなので、DA/DFA Limitedと異なりクイックシフトフォーカスに対応していないのがやや勿体ない点。


まとめ

柔らかさと独特の癖はポートレートに適している。

記録目的で緻密な描写を求めるなら、開放の扱いづらさには難があるかもしれない。特に森を散歩していて樹上の小動物を追う時などはある種の制約を感じることも。

77mmというとほぼAPS-C & 50mmの画角。所謂撒き餌レンズやキットレンズのズーム端を使ったことがあれば、フルサイズの画角は意外ととっつきやすい。ポートレートだと被写体と会話できる距離感でバストアップを狙える。APS-Cだと118mm相当となり、よりクローズアップしたパースの圧縮された構図となる。

フルサイズ対応の明るい中望遠でポケットサイズというのは一眼用交換レンズの中でもユニークな個性。他のLimitedレンズと気軽に交換を楽しむもよし、身軽さを活かすもよし。


比較

smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limited
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 AL Limited   Trial 

FA43とFA77をレンタルで試用してみたのは、FA31が自分にどハマりだったという経緯から。
FA Limited三姉妹とも呼ばれる三本の中で、FA77はポートレートの画角で被写体と背景を美しく分離できる表現が魅力。
FA43は前述した安定感と汎用的な画角、そして別格のコンパクトさが強み。
そして開放からの解像感に関してはFA31の実力が頭一つ抜けている。

FA43は1ヶ月、FA77は3ヶ月使っていた。枚数としては350枚+1300枚。
好みに一致した順に

FA31 > FA43 > FA77

となり、手元に置くことにしたFA LimitedはFA31のみ。
標準より広角 or 望遠どちらかに振れたい、という好みの問題が決め手となった。
カスタムイメージSpecial Edidion「春紅」が刺さる人はHD FA77も候補に入れたいところ。


HD PENTAX-DA 70mm F2.4 Limited

APS-C用だが、四隅の解像まで重視しなければフルサイズでもほぼ問題なく使える。
こちらも開放の色収差はあるがFA77ほどは目立たず、ボケを活かした描写が得意。
求める性能次第でFA77と五分五分の実力となり得る。

FA77でも十分コンパクトだった全長のさらに半分近い中望遠パンケーキで、フードの着脱やDA40のフジツボフードへの換装も可能。
クイックシフト・フォーカスも備えており、価格と利便性はFA70が勝っている。
77mmの独特な画角も良いが、70mmの方が個人的には扱いやすく感じられる。

そもそもの表現力、フルサイズで絞ったときの四隅までの描写性能はさすがにFA77に分がある。
スナップ用か切り札用か、各機能が必要かどうかで選択するのが良さそう。


作例


PENTAX K-1 Mark II 1/1250s F1.8 ISO100 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/320s F1.8 ISO200 77mm

PENTAX K-1 Mark II (APS-C Crop) 1/100s F1.8 ISO400 77mm
カスタムイメージ:リバーサルフィルム


PENTAX K-1 Mark II 1/640s F1.8 ISO200 77mm


PENTAX K-1 Mark II (APS-C Crop) 1/320s F4.0 ISO800 77mm



PENTAX K-1 Mark II (APS-C Crop) 1/2000s F2.8 ISO100 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/5000s F1.8 ISO400 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/400s F1.8 ISO200 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/1250s F1.8 ISO100 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/400s F1.8 ISO100 77mm


PENTAX K-1 Mark II 1/80s F1.8 ISO1600 77mm
カスタムイメージ:里び


PENTAX K-1 Mark II 1/80s F7.1 ISO400 77mm
カスタムイメージ:里び


PENTAX KP 1/1600s F1.8 ISO100 77mm