SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO
2005年に発売された小型の望遠ズーム。
市場に出たKマウントフルサイズ用70-300mmの中ではおそらく最も評価が高い。
スイッチ切り替えでハーフマクロ撮影に対応可能。
| 長所 | 短所 |
| 色収差が少ない 0.5倍の望遠マクロ撮影が可能 | AFが遅め(特にライブビュー) 逆光に弱い |
| おすすめの用途 イベント / ネイチャーフォト / スポーツ | |
画質
2000年代のレンズとしては十分に優れた解像感で、一段程度絞ればK-1の3600万画素にも十分対応できる。
APOを冠するレンズだけあって色収差は開放からほとんど見られない。
しばしばボケが硬いと言われるSIGMAの他レンズの描写傾向に比べると扱いやすいボケ感。
このクラスのズームレンズとしてはという但し書きこそつくものの、変な癖に悩まされる場面はなく自然な描写。
開放かつ遠景の描写は若干緩くなる傾向がある。
またF8未満でも絞ると派手な光芒が出やすく、水面の煌めきなどが目立ちすぎることも。
9枚羽根の鋭い光芒を効果として狙うこともできるのでプラスかマイナスかは撮影者の意図次第。
回折現象の影響が出づらい設計なのか、望遠端の遠景で解像力をテストしてみると
F22 ≦ F8 < F11 ≦ F16 という結果に。
フィルターなしでなるべくスローシャッターを切りたいときなど覚えておいていいかもしれない。
望遠レンズらしい大きめのフードが付属するが、逆光には弱い。
中古購入なのでコーティングが劣化している可能性もあるが、フレアやゴーストは気になる場面が多め。
機能
動体には不向きなAF速度で、駆動時の"カッ コッ"という衝撃がフォーカス群の重さを感じさせる。遠方の小さな被写体に速く高精度に合焦させる用途が苦手で、特にAF-Cだとあまり実用的ではない。
マクロ撮影では動き回る昆虫などを撮るにはやはりAF速度が遅め。数を打てれば撮れなくもない。ライブビュー撮影時には回転角の大きいフォーカスリングが仇となり、迷ってから戻ってくるまでが長い。しかしピントさえ合えばなかなか満足度の高い写り。あくまで不向きなのは動体であり、単に高画質でコンパクトな望遠レンズが欲しい場合は現行品とそれほど遜色のないレベルで纏まっている。
マクロ撮影モードの切り替え機能があり、焦点距離200mm以上の状態でマクロスイッチを切り替えるとピントリングの可動域が増える仕組みになっている。このマクロスイッチを戻さなければ200mm未満に戻すことはできず咄嗟の切り替えができないのは不便だが、0.5倍の望遠ハーフマクロは稀有な存在。フルサイズ用だけあって55-300系に比べてボケ表現も容易。
コンパクトと呼べるサイズではないが、重量もわずか550gで見た目より一回り軽く感じられる。望遠ズームとしては十分な携帯性。ボディとフードつきだと小型のショルダーバッグに収めるのはやや厳しい。
まとめ
2023年現在、純正のフルサイズ対応望遠レンズは超望遠ズームと大三元 & 小三元、そしてAPS-C用サンヨンのみ。幻のDFA70-300はロードマップから消えてしまったので今後も期待はできないだろう。
ΣAPO70-300は中古品が安価に手に入りやすく、ひとまず入門用望遠ズームが欲しい人に適した選択肢。AFの遅さ、コントラストの眠さ、逆光耐性の難などいくつか問題を抱えてはいるが基本的な解像力やボケ味は及第点かそれ以上でマクロモードもたまに活躍する。
古いながらも、近年のレンズの単なる下位互換に留まらないユニークさのある製品。
比較
HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR RE
APS-C用の中望遠〜望遠ズーム。
防滴かつPLMモーターの高速静粛なAFと高い画質を持った中堅クラスのレンズで、その上価格が入門並。
ΣAPO70-300の中古品はさらに安いが、AF回りと逆光耐性の性能差が大きい。
フルサイズ機で使用する場合シグマはクロップせず使用できるので、ボケ量などは差が出る。
マクロ性能はΣAPO70-300のマクロモードが0.5倍、オフだと0.24倍。
DA55-300PLMは0.3倍だが、切り替え無しでこの倍率を実現しているので使い勝手に優れる。
また、解像感は拮抗するが近景ではΣAPO70-300の方がやや勝る。遠景はDA55-300PLMの方がいい気がする。
ΣAPO70-300はAPS-C使用時でも周辺部までイメージサークルの余裕を感じさせる描写。
総合的に見てDA55-300PLMの方が万能で信頼できるが、優先する要素次第ではシグマも実用的。
AF性能、逆光性能、防滴、ボディ内補正、携帯性重視 = DA55-300PLM
F値、マクロ撮影、絞りリング、フルサイズ対応、価格重視 = ΣAPO70-300
HD PENTAX-D FA 150-450mm F4.5-5.6 ED DC AW
Kマウントフルサイズ超望遠の王道。ただしだいぶ重い(重量差約4倍)。
このクラスになると望遠レンズ用の運搬手段が必要で、広角端も望遠スタートになるのでそもそもの使い勝手が全く異なる。一応手持ち撮影は可能だが、色々な向きに狙いを変えながら安定して長時間構えるには筋力が必須。
価格・携帯性・マクロ性能以外はAF速度、静粛性、画質、逆光耐性、防塵防滴などほとんどの面で150-450が優れている。画質は解像力はもちろん画面全体のコントラストも明確に差がある。とはいえ純正からDFA70-300が出る可能性が極めて薄いので、Σ70-300APOは気軽なフルサイズ用望遠レンズが欲しい人向けに有力な候補。
備考
2024年4月売却。フルサイズ用のDFA150-450と気軽に使えるDA55-300PLMの体制が整ったため。














