smc PENTAX-DA 50mm F1.8
定番の入門向け単焦点、いわゆる撒き餌レンズ。
APS-Cなら中望遠に相当するが、非公式ながらフルサイズ用標準レンズとしても使用可能。
とりあえずで買っておいて損のないコストパフォーマンスと描写性能が魅力。
| 長所 | 短所 |
| ポケットサイズの携帯性 単焦点らしい画質とボケ味 一応フルサイズ使用可(非公認) 圧倒的なコストパフォーマンス | 開放の解像力は甘め プラスチックマウント QSF非対応などを含むコストカット |
| おすすめの用途 スナップ / ポートレート / 旅行 / 花 | |
画質
ヌケがよく開放付近は柔らかいものの必要十分な解像力。もちろん絞ればよりシャープになる。
画質のよさを求めてズームレンズから買い足すならキレもボケ味も十二分に楽しめる。50mmといえばもっと安価な選択肢としてフィルム時代のマニュアルレンズなどを中古で入手する手もあるが、ある程度現代的な写りも求めているのであればDA50が最も手堅い選択肢。
デジタル移行後のPENTAXには長らくデジタル専用設計で中望遠相当の単焦点がなく、FA/DFA系のレンズがその枠を担っていた。2009年にDA★55が登場したあと、2012年にFA50をデジタル用に再設計した製品としてDA50が登場した。構成はFA50に似たダブルガウス型で、後群の構成が微妙に異なっている。口径を抑えつつ構成枚数も減らし、小型軽量化を達成したように見受けられる。
肝心の画質については、2010年代のレンズとしてはやや甘い部類かもしれないが並のズームレンズのような像の乱れや流れはなく、単焦点らしい写り。色収差なども癖として許容できるレベルで、悪目立ちしてしまうことは少ない。開放はハイライトがフレアがかった描写になりやすく、ポートレート撮影で効果を狙うこともできるが毛先まで描く繊細な描写が欲しい場合は一段以上絞りたい。
F5.6〜F7.1あたりが解像力のピーク。F10あたりから徐々に回折の影響が大きくなる。
このレンズを検討する人がまず気になるのはボケ味かもしれないが、価格とサイズを踏まえると非常に優秀。サイズが似通っているDA Limitedシリーズは小型化と引き換えに微妙に癖を抱える製品も見られる一方、DA50は非常に素直。F1.8といえど立体感のあるボケを演出するには十分で、ポートレートから風景まで安心して使用できる。
機能
画質は上々だが、入門向けだけあり機能性は最低限に絞られている。
防塵防滴、クイックシフトフォーカスにはいずれも非対応。幸い逆光には強いもののフードは付属しない。マウントと鏡筒はプラスチック製で距離指標もなく、所有欲を刺激される製品かといえば意見が分かれるだろう。
重量はこのレンズの際立った長所で、122gと50mmクラスのレンズの中では圧倒的に軽い。パンケーキサイズとまではいかないが長さも38.5mmに抑えられており、ズームレンズとは別に鞄に忍ばせておくような使い方でも気軽に常備しておける。
鏡筒は二重構造となっており、無限遠の状態だと全群繰り出し式の光学系が鏡筒外周部に埋もれるようになっている。近接撮影時はこの光学系が前方に移動するが、最短撮影距離でもフィルター枠より手前に前玉が隠れている。鏡筒外周部は遮光とレンズ保護の役割を兼ねており、フードなしでもラフに扱える点が良い。
AFは特別遅くはないが速くもなく、動体撮影だと歩留まりはよくないだろう。最近の他社製品に慣れている人だとボディ内モーターのギア音は気になるかもしれない。
最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率0.15倍とまずまず。特にAPS-Cでは中望遠画角となるので、猫の顔ぐらいの大きさの被写体なら画面いっぱいに写すことができる。
フィルター径は52mmでPENTAXの小型単焦点レンズとしてはやや珍しいが、キットレンズのフィルター枠と共通化しているものと思われる。前玉が小さく画角も狭いので、ステップダウンリングで49mm径のフィルターを使用してもケラれることはない。
まとめ
安価で非常に軽量コンパクト、ボケも十分に楽しめるので1本目の単焦点として不足はない。
一方、2020年代にもなるとエントリークラスでも開放からカッチリとした描写と高速なAFが当たり前になってきた。現代においては、ややオールドレンズめいた描写の癖やAF音の大きさが古めかしく感じる人も増えてきているかもしれない。
しかし、新品が1万円ちょっとで手に入るという優れたコストパフォーマンスはいまなお健在。実写性能も十分なもので、癖を活かす方向であれば敢えてこのレンズを使いたい場面もある。ボディAFのレンズ全般に言えることだが新機種ほどモーター性能向上による性能改善も実感できるので、AFの評価については新しめのレビューを参考にすると実情に則しているかもしれない。
備考
フルサイズでの使用
細かいことを気にしなければコンパクトな標準レンズとして十分使える。
というか、ほぼK-1IIにつけて使っていたことにレビュー用の作例を集めていて気付いた。他にAFが使える50mmを持っていないのもあるが、F1.8の明るさでK-1を身軽に(お財布的にも気軽に)運用できる点でやはり有用。
ケラレはないが開放で強めの周辺減光と四隅の乱れが発生し、絞り込んでも完全には解消されない。風景だと気になるかもしれないが、メインの被写体を端に置くようなシーンでなければ開放付近でも問題はないだろう。画面の露光バランスに少し気を使うものの、味付けに丁度よかったりもする。
比較
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited
単焦点の1本目として比較対象となる準中望遠(フルサイズでは標準)単焦点。
・安価な単焦点
・フルサイズでもそれなりに使える
・キャップなしでも前玉が傷つきにくい構造
と似通っている要素がいくつか。
大きくボケる単焦点レンズを求めるならDA50はよりお手頃で優秀。DA40はボディキャップ並の薄さが最大の長所で、薄型のボディバッグ等でも気軽に一眼レフを持ち歩ける点に価値がある。普通のズームレンズと比べればF2.8も十分明るく、DA Limitedの中では画質の癖も少ない。フルサイズで使用する場合、DA40はクロップ併用で40-60mm、DA50は50-75mmのような感覚で使える。前者は汎用性が高く、後者はポートレート向き。
DA40はHD版ならカスタムイメージ九秋も使えるようになる。
ボケの大きな中望遠として使いたい、コストを抑えたい = DA50
より安定した描写と携帯性、金属鏡筒、クイックシフトフォーカス = DA40
HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW Trial
スターレンズだけあって光学的な性能においては全てにおいて上位互換。クイックシフトフォーカス、防塵防滴、AFの静粛性など機能面のアドバンテージもほとんどDFA★50にある。AF性能もDFA★50の方がやや上。
ただしお値段は10倍。重量も7〜8倍あるので、使い勝手は全くの別物。カメラにかける費用は抑えたい、大きなバッグを肩に食い込ませたくないという人にとってDA50の気軽さと性能のバランスは魅力的。
一方DFA★50はただボケるだけではなくピントがキレキレなおかげで一層立体感のある描写で、描写の癖を気にして絞ったりする必要は全くない。DA50なら粗が見えてくるシチュエーションでもパーフェクトな仕事をこなすので、迷うのであればスターレンズが間違いないかもしれない。ちょうどDA50を買い足せるポイントもついてくることだし。
フィルム時代からのロングセラー品で、HD版/Classic版に派生しつつなお現役のオールド級単焦点。
DA50もFA50/1.7をリファインしたものらしいので光学設計自体はオーソドックスなものらしいが、FA50/1.4は昔の大口径レンズらしい緩さ、良く言えば味がある写りで悪く言えば甘くてボケも硬い傾向。開放と絞った状態でコロコロ表情が変わる点が面白く、そんな描写が新品で手に入ることに価値を見いだせるかがこのレンズを選ぶ基準のひとつ。
フルサイズで使う場合、流石に35mm判に対応しているFA50の方が四隅まで優れた解像感。DA50も大抵のシチュエーションで問題なく使えるが、絞っても四隅に微妙に乱れが残るので風景撮影では不利。
作例
カスタムイメージ:リバーサルフィルム










