smc PENTAX-FA 50mm F1.4
設計は古いものの、その古さが現行品として手に入ることに面白さがあるレンズ。
| 長所 | 短所 |
| ポケットサイズの携帯性 フィルターいらず(?)のソフトな写り オールド調だが新品で入手できるレンズ (現行品はコーティングが異なる) | 単純な光学性能は低い(特に開放) 逆光に弱い 機能面は古め プラスチック感が強い外観 |
| おすすめの用途 スナップ / ポートレート / 旅行 | |
画質
開放の描写はかなりソフトで、フィルターをつけているのかと錯覚するほど。
それもそのはずで、FA50の発売年は1991年。6群7枚の光学設計は84年製Aシリーズの50mm F1.4から引き継がれたもので、なんなら6群7枚のダブルガウス構成自体は1971年のSMCタクマーからほとんど変わっていない。実質40〜50年前の光学製品が現行で販売されていることになる(本製品の後継モデルであるHD版とClassic版はコーティングのみ変更)。
6群7枚構成といえばPENTAX-M 50mm F1.4を所有済みで、確かに開放の癖などが似ている印象を受ける。
F1.4からメリハリのある描写をする訳でもなければピントの山も不明瞭ではあるものの、オールドレンズのような描写感のレンズが新品で手に入るメーカーもある意味希少。ソフトな描写も効果だと思えば撮影の幅を広げることも可能。
ボケは開放だとバブルめいた輪郭が目立つほか色づきも目立ち、手放しで綺麗なボケとは言えない印象。オールド調の効果を狙って開放の癖を活用する手もあるが、背景を自然に溶かして被写体の存在感を際立たせるような使用イメージだと、やはりうるさく感じる人が多いだろう。
F2だとまだ収差の影響が強いもののF2.5〜2.8あたりでボケは扱いやすいものとなり、ソフトな滲みも消えて現代寄りの描写になってくる。F8〜11まで絞ればフルサイズの風景撮影でもそれなりに良好な解像感が得られる。
軸上色収差はやや目立ち、2段絞っても出るときは出る。周辺減光は2段程度でおおむね解消される。
中古個体なので埃の影響やコーティングの劣化も考えられるが、光源がフレームインするかどうかに関わらず基本的に逆光の影響はモロに受けると思った方が良い。このレンズはそれもまた味ということで。
機能
FAシリーズなので機能は少なく、クイックシフトフォーカスシステムや防塵防滴も対応していない。代わりにDA以降で廃止された絞りリングが残っている。FAシリーズ共通のツルッとした樹脂鏡筒は好みが分かれる部分で、少なくとも高級感は無い。
携帯性はこのレンズの大きな長所で、質量はわずか220g、長さも37mmに収まっている。APS-C用のDA50/1.8はさらに軽いが、100g帯と200g帯でハンドリングの差はほとんど無い。フードは付属せず、必要な場合はねじ込み式の選択肢がいくつかある。
ボディAFの全群繰り出し式レンズなのでAF性能は並。ギアの駆動音が出るので、シチュエーションによっては気になることも。
最短撮影距離は0.45m、最大撮影倍率は0.15倍。テーブルフォト等では画角の狭さもあり少し窮屈さもあるが、50mm単焦点としてはごく標準的な性能。汎用性は十分。
フィルターサイズはPENTAXではおなじみの49mm径。FA43等のフードの流用も可能。
まとめ
PENTAXのフルサイズ用50mm F1.4は、数十年前の設計を引き継ぐFA50と現代技術を結集したDFA★50という形でかなりの二極化を遂げている。
FA50の方はHD版と虹色フレアを売りにするClassic版に分岐し、しかし光学設計が全面的に見直された訳ではないのでベース性能は旧来に準拠したものとなっている。D FA MACROの50mm F2.8が間を埋めていると見れなくもないが、用途がやや別ジャンルなのでここでは割愛する。
DFA★50ほど巨大なレンズは求めていないがFA50だと撮りたい写真が撮れない、という人にはAPS-C用の50mmを選ぶのもひとつの手。DA50/1.8は開放からそれなりに使いやすい画質で、疑似的なインナーフォーカスでもあるので何かと扱いやすい。DA★55/1.4はフードを外すとやはりコンパクトで、代替フルサイズ用としての定評もある。
FA50はこれはこれで面白いレンズなので、PENTAXらしく存続させて欲しい気持ちはある。それはそうと中ぐらいの性能のD FA 50mm F1.8とかが出たら面白そうだなと思ったり。
備考
Lightroomの補正には非対応
自動レンズ補正には対応しておらず対応レンズのリストにもFA50は載っていない。smc版のFAシリーズで対応しているのがLimitedぐらいでそもそも例外なので、そういうものと言ってしまえばそう。FA35はHD化で対応リスト入りを果たしたが、FA50はそれもない模様。
比較
HD PENTAX-FA 50mm F1.4
smc PENTAX-FA 50mm F1.4 Classic
HDコーティング化された後継モデルと、コーティング調整で虹色フレアの効果が追加された派生モデル。未所有なので参考までに。
HD版は描写性能に関してsmc版との劇的な差があるような話は聞かない。過去HD化されたレンズの傾向を踏まえると、5群6枚の少ない構成枚数でもおそらく逆光耐性の差はあるのだろう。FA50は綺麗なボケを得ようとすると2段ほど絞る必要があるレンズだったが、円形絞りが採用されたことでF2.8までボケの輪郭が角ばらなくなったらしい。FA35のHD化と同様に外観が大きく変更されたので、FAシリーズのデザインが刺さらなかった人にはHD FA50が良いかも。
Classic版は開放で強い光源を入れると虹色のフレア(リング)が発生する特殊コーティングが施されている。正確にはフレアではなくゴーストと呼ぶべきなのだろうが、このゴーストは無印のFA50でも弱いながら見られていた。Classic版はその光学的な特性を逆手に取ったのだと思われる。こちらは旧バージョンの外観を引き継いでいるが塗装の質感が変更されたほか、絞りも円形になっている。
非常に優秀なAPS-C用の入門単焦点。
FA50の強み:癖のある描写、シャッタースピードを稼げる、金属マウント、正式フルサイズ対応、少しだけ短い
DA50の強み:開放付近から程よくキレのある素直な描写、非常に安価で軽量、逆光耐性が高い
忠実性の高さという観点でDA50の光学性能を75点とするとFA50は55点ぐらいで、記録目的を兼ねたい写真はDA50、滲みや収差の癖も魅力と感じるならFA50という選び方になる。開放F値の明るいFA50を2/3段絞れば収差がカットされてDA50の性能に追いつくかといえばそうでもないらしく、遠景の解像感や逆光耐性でDA50の方が安定している。
フルサイズで使用する場合、周辺部まで画質に大きな差はないがDA50は絞り込んでも四隅が甘くなるためこの点はFA50が少し有利といえば有利。DA50はクロップ時以外ボディ補正も使えないので、撮って出し前提だと少し注意が必要。
HD PENTAX-D FA★50mm F1.4 SDM AW
27年ぶりに登場した35mm判フルサイズ用50mm F1.4の新製品。
世代の新しいスターレンズだけあって描写は別格。ピントのキレがよくボケ味も理想的なので、被写体が浮き上がるような表現が得意。高速静粛なAFや防塵防滴シーリングも投入され、全てのスペックでFA50を上回っている。絞り込んだときの描写も、やはりDFA★50の方がカラーバランスも優れていて忠実性が高い。
比較的高価だが、新品同士(FA50は現行品のHD版)で比べると2倍の価格差に留まっているのでDFA★50は性能比価格もなかなか優れている。中古であればsmc版FA50が1万円前後と爆安なので価格差が広がる。価格よりも問題となるのはサイズの差で、これはDFA★50が4倍も重いので使用者の気概が試される。
忠実でシャープな描写というのは現代では当たり前に感じるユーザーも多いので、使い分けという意味では敢えてFA50を選ぶ手もある。
作例
カスタムイメージ:フラット











