HD PENTAX-D FA 24-70mm F2.8 ED SDM WR Trial
フリートライアルで2週間だけ試用したメモ。
一眼レフ用の大三元標準ズームとしては比較的小型で扱いやすい。
フルサイズシステムの主力級として十二分な実力を持っている。
| 長所 | 短所 |
| 一眼レフ用F2.8通しズームとしては軽量 十分に高速静粛なAF 防滴仕様 | 周辺減光が強め |
| おすすめの用途 旅行 / イベント / ポートレート / 風景 / 天体 | |
画質
解像力は開放かつ遠景だと幾分柔らかいが、絞り込めば何の問題もない。プリントや等倍鑑賞が目的でなければ、開放でも然程問題にはならないかもしれない。画面全体の解像力がピークになるのはF8程度で、中央のピークはほんの少し手前。F11でも周辺部までよく解像するが、四隅も含めてわずかに回折の影響が出てくる。
色収差はとても良好に補正されている。周辺部にわずかな倍率色収差が見られる程度で後補正はしやすい。歪曲は広角端でやや樽型となるが、それ以外はズーム全域において軽微。
ボケ味はまずまず良好。並の単焦点レンズと比べても遜色なく素直で癖のない描写で、フルサイズらしい立体的な表現を容易にこなすことができる。年輪模様や二線ボケが皆無とまでは言わないが、かなり厳しい条件を与えない限りボケがうるさいと感じられることはない。広角〜中望遠を行き来しても明るさが変わらない点も単純に扱いやすい。
逆光耐性はおおむね良好でクリアな描写。フレアが少ない一方でゴーストが目に付くケースもあるが、通常使用において気になることはほぼない。円形絞りだが比較的明瞭に光芒が出やすく、柔らかすぎない光芒が好きな人にとっては加点ポイントかもしれない。
開放の周辺減光はそれなりに強く、画角に青空などが入ると落ち込んで見えることも。補正が適用できないアストロトレーサー使用時は特に気になるかもしれない。敢えて活かす方向もアリだが、F4〜4.5程度でだいぶ改善されるので画作りの意図に応じて調整したい。
機能
AFは十分に高速かつ静粛性も高くストレスがない。他のレンズを例に挙げるとDFA28-105やDA16-85とざっくり同じ程度。超音波モーターのカタカタ、スーッという動作音はあるので動画撮影では気になるかもしれないが、スチルで困る場面は無い。
最短撮影距離は0.38mとまずまず問題なく、最大撮影倍率0.2倍を確保している。0.5mまでしか寄れない欠点を持つDFA28-105に比べると扱いやすい。
82mmのフィルター径を採用するレンズは多くはないが、フルサイズだとDFA★85、APS-Cを含めるとDA★11-18なども共通なのでフィルターは使い回せなくもない。最近のレンズとしては珍しくSPコーティングが無く、保護フィルターだけでもまあまあいいお値段になるのが悩みどころ。
画質や機能全般のクオリティは十分高い一方で、鏡筒の造りがやや簡素に感じられることも。鏡筒先端の微妙なガタつき、薄く華奢なフードはスターレンズのそれに比べるとコストカットが感じられる。
そのぶん一眼レフ用の大三元標準ズームとしてはコンパクトに纏まっており、Canonの24-70はI型 950g → II型 805g、Nikonの24-70がI型 900g → II型 1070gだったのに対し、本製品は787gに纏まっている。もっともDFA24-70の実態はTAMRONのOEM製品なので、全面的に押し出していい長所なのか迷うところではある。
まとめ
安心してK-1のメインレンズを任せられるであろう高性能な標準ズームレンズ。
スターレンズと比較をすれば粗探しをできなくもないが、わかりやすい短所は周辺減光ぐらいでそれもボディ内補正や後補正で片がつく。欠点を意識せずに使える汎用性の高さは使用頻度の高い標準ズームとして重要な要素。
PENTAXのフルサイズ大三元は望遠を除いてTAMRONのOEMということで、キヤノン用やニコン用より高めの価格設定を含めて人によっては異論があったりなかったりする。特に大口径標準ズームはメーカーの顔として捉えられる側面があるのは否めないが、少なくとも価格に関しては、サードパーティとして展開する場合純正品との価格競争が発生するので同価格にならないのも納得できる。
DFA★24-70(仮称)とは別に安価なサードパーティの選択肢としてタムロンの24-70がある形が理想かもしれないが、DFA24-70も重量比の性能はすこぶる良好なので結果的に上々な落としどころとなっている。
比較
HD PENTAX-D FA 28-105mm F3.5-5.6 ED DC WR
Kマウントフルサイズ導入時に最も気になる(?)比較。
DFA24-70 = F2.8通し、24mmスタート、広角側の接写性能
DFA28-105 = 小型軽量、広いズームレンジ、最大撮影倍率、強力な逆光耐性
といった強みが分かれており、価格も上のDFA24-70が完全上位互換でもなかったりするところが難しい。しかし基本的にどんなシチュエーションにも対応できるのはDFA24-70の方だろう。テレ端の焦点距離の差はクロップである程度埋めることが可能だが、ワイド端4mmの差はそれなりに大きい。
どちらもキレとヌケのよいクリアな描写で、パンフォーカスで画角も一緒ならブラインドで差を見出だせる自信はない。DFA24-70はボケの表現力や、高感度に頼らずに暗所で使える明るさにより価値がある。
OEM元(A007)のさらに旧モデル。
同社のフルサイズ一眼レフ用F2.8通し標準ズームには以下の三世代がある。
2003年 SP 28-75mm Di F2.8 (A09)
2012年 SP 24-70mm Di F2.8 VC USD (A007) ≒ PENTAX DFA24-70
2017年 SP 24-70mm Di F2.8 VC USD G2 (A032)
ついでに一番下の24-70 G2も取り上げると、A007 or DFA24-70になかった電磁絞り、防汚コート、タップインコンソール、レンズフードのロック機構など地味に追加要素が多い。反射防止コートや手ブレ補正も強化されている。DFA24-70IIとして採用して欲しかったと思わなくもないが、光学系が一緒ならまあいいかという気もする。
話をA09に戻すとボディAF式でモーターは内蔵しておらず防滴もなく、流石に9年分の世代差は感じる。いわゆる大三元ズームというよりは「明るい標準ズーム」と言ったほうがよく、上位クラスの性能を期待すると肩透かしをくらうかもしれない。
DFA24-70と光学性能を比較すると、ぱっと見の描写はそれほど差がない場合も多い。しかしA09の方がやや背景ボケに癖が出やすく、周辺の解像が甘く、逆光にも弱い。DFA24-70も完璧な訳ではないがボケの輪郭の色づきがない、開放から1段絞ると大人しくなるなどより自然な表現がしやすくなっている。
単純にシャッタースピードが目的なら軽量で荷物にならないA09も有力な選択肢となる。描写性能やフルサイズならではのボケを追求するならDFA24-70が最も間違いがない。
HD PENTAX-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WR
フリートライアルのセットで借りた簡易比較。
K-1用の広角枠は選択肢が少ないので比較対象となる。
DFA15-30の方が一回り大きく、光学性能的にもやや上だと感じる。ただし超広角という点を差し引いてもゴーストの発生率は高めで、総合的にはDFA24-70と同格ぐらいの性能。
K-1用の広角レンズといえば星撮り用で迷う人もいるだろう。DFA15-30のほうが広角側の画角の自由度が高いのはもちろんだが、15mm開放からコマフレアが少なく(広角特有の引き伸ばしはあるが)星が点像に見える点も好印象。他の用途と兼用したり特定の星座を画角に収めたいならDFA24-70の汎用性も捨てがたいが、特に星景ではDFA15-30の使い勝手が二歩勝る。出目金レンズなので円形フィルターが使えないのは惜しい部分。
PENTAXで星撮りをする場合、アストロトレーサーとの相性も重視したいところ。広角ほど周辺の星が流れやすい点は仕方ないとして、DFA24-70は開放の周辺減光が強いため、センサー中心位置が光軸外に逸れるアストロトレーサーを使用すると後補正がやや難しくなる。DFA15-30は開放でも周辺減光が少なく、F3.2程度でほぼ改善されるためこの点は扱いやすい。
作例
アストロトレーサーType3
カスタムイメージ:リバーサルフィルム
(周辺部に展望室ガラスの影響あり)








