HD PENTAX-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WR   Trial 


フリートライアルで2週間だけ試用したメモ。
フルサイズ大三元ズームの広角を担う重量級の1本。


長所                  短所                  
色収差が少ない
比較的静粛性の高いAF
意外と汎用性の高いズーム域
防滴仕様
大きく重い
円形フィルターが使えない
おすすめの用途
風景 / 天体 / 記録



画質

解像力は開放でも中心は十分高いが、APS-Cクロップ範囲でいう四隅のあたりから甘くなり始める。検証しきれていないが、像面が湾曲しているような印象を受けるケースがある。画面全体の解像力のピークはF8あたりで、中央部のピークはほんの少し手前。四隅はF11〜13で最もよく解像し、さらに絞り込むと回折の影響で再び甘くなる。単焦点のように開放付近から全体がキレキレという訳ではないが、絞り込んで被写界深度を稼ぐ通常の風景撮影で困ることはまずない。K-1の大三元レンズにふさわしい画質。

軸上色収差は開放からほとんど意識できないレベルで、倍率色収差は等倍まで拡大して分かる程度。後補正も容易なので、色収差を気にする必要はほぼない。樽型の歪曲があるが大きくないので人工物の撮影でもさほど気になることはない。

ボケ味は良好で、これまで使ったことのあるズームレンズでも上位の表現力。並のレンズなら二線ボケになるような条件でもなめらかに輪郭を溶かしてくれる。玉ボケを大きく写すと非球面レンズの輪線ボケがうっすら現れることがあるが、鑑賞の妨げになるケースは稀。

基本的に抜けの良いレンズだが、特に広角端において周辺部や画角外に強い光源があるとゴーストが発生することがある。二重構造の花形フードは広角側と望遠側でカバー範囲が変動するように設計されており、ズームしていくと迷光は入りづらくなる。


機能

まずその巨体が目につくが、純正のデジタル対応品では20mm以下をカバーする唯一のレンズなので大目に見たい気持ちが勝る。一眼レフ用でF2.8通しの広角ズームといえばこんなものとも言える。被せ式フードだけでもそれなりの大きさ(重ねたホットケーキぐらい)。

1040gと重さも大台を超えており、並のレンズを2本携行するのに近い感覚。K-1に装着した際のバランスはそれほど悪くない。

鏡筒は樹脂製だが造りは非常にしっかりしており、先端が伸びるのではなく二重になった筒の内側をスライドさせる疑似インナーズームのような構造を取っているので実用、外観ともに華奢な印象は受けない。

画質の項でも述べた通り、望遠側へズームして鏡筒内部が引っ込むと相対的にフードが延伸する仕組みになっている。画角外の光源に邪魔をされることも少ない。

Kマウント用でデジタルかつフルサイズ対応の超広角ズームは2000年代のサードパーティまで含めると選択肢がないでもないが、DFA15-30は唯一防滴に対応している。


まとめ

性能を踏まえると1kgクラスは妥当なサイズ感で、K-1系に装着したときのバランスも決して悪くはない。登山で使うにはやや覚悟が要るが天体撮影などで持ち出すには全くやぶさかではない。広角レンズの設計が有利なミラーレス用の作例と比較すると周辺部の解像が甘いとか重いとかの感想になるのかもしれないが、実際に使ってそうなるとは限らないので割愛。

より軽量なF4通しの広角小三元もそれはそれで需要があったと思われるが、タムロンから出ていない以上OEMも難しいので仕方ない。デジタル対応を謳うKマウントフルサイズ用広角ズームは非常に選択肢が少ないのが現状。

より小型の超広角システムならAPS-Cがあるし、フルサイズならではの高画質を求めるユーザーの要求をDFA15-30がほぼ満たしているのは幸いと言える。K-1はセンサーサイズと液晶の使いやすさも相まって天体撮影との相性が良いので、星撮りに興味がある人はぜひ。


備考

天体用としての評価

K-1用の広角レンズとして最も焦点距離が短く光学性能も折り紙付きで、天体用レンズとして有力な候補。ただ開放だと像面の平坦性があまり良くない気もするので、軽く絞って使った方がいい結果が得られるように思われる。MF単焦点も含めるともっと画角の広いレンズもあるが写り込みの多い広角はズームの重要度も高く、2024年に追加された星AF(有料機能)はAFレンズのみの機能なのでやはりDFA15-30が最有力の一角となる。

人工照明がない場所なら問題にならないが、街灯が周辺部やわずかに画角外にあると広角端ではゴーストが発生しがち。ズームを上手く活用したり必要に応じてハレ切りが求められる。

風景撮影ではある程度絞り込む必要があるものの、星が被写体だと開放も1段絞った状態もあまり変わらない。どちらかというと広角レンズ特有の周辺の引き伸ばしの方が目に付く。

色収差も少ないので素直にF2.8の明るさを活かして問題ない。


比較

Tamron SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF] / A05

2003年から5年ほど発売されていた超広角ズーム。
当時のKマウントDSLRはAPS-Cしかなかったので、実質標準ズームとして販売されていた。

2003年 SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF] / A05 (EF/F/A/K用)
2014年 SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD / A012 (EF/F/A用) ※DFA15-30のベース
2018年 17-35mm F/2.8-4 Di OSD / A037 (EF/F用)
2018年 SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2 / A041 (EF/F用)

TAMRONの歴代Diシリーズ(PENTAXでいうDFA、SIGMAでいうDGシリーズ)の超広角ズームはこんな感じ。OEMを除けばA05が唯一Kマウント用として発売されていたことが分かる。

解像力、逆光耐性はDFA15-30に比べて明らかに劣るが、色収差とボケ味に関してはまずまず良好。円形フィルターが装着可能という点も強みになり得る。DFA15-30よりコンパクトではあるが、花形フードが嵩張るのでパッキング時にはいまひとつ恩恵を感じにくい。

天体撮影で使用する場合、開放からコマ収差等が目立たないのはDFA15-30。


SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD / A012
SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2 / A041

OEMのベースとなったA012と、その後継にあたるがOEM化はされなかったA041。いずれもKマウント版が発売されないまま生産完了となった。DFA15-30と比較する環境がないので表面的な所感のみ。

A012とDFA15-30の違いはほぼ無く、外観と一部機能のみがPENTAX仕様に置き換えられている。生産国表示からも、タムロンから直接リコーイメージングに出荷されているものと推測される。DFA15-30の手ブレ補正機構はおそらく接着剤などで固定されており、MF/AF切り替えレバーやVC切り替えレバーも撤去されている。PENTAX機はボディ内手ブレ補正を内蔵しているので特に問題になることは無い。

A041は硝材とコーティングが変更されてより画質が向上したほか、レンズ内手ブレ補正の補正段数アップやファームウェア更新対応が主な売り。後者はPENTAX用だと恩恵が無いので、新たに金型を起こしてまでDFA15-30IIを出す必要はないという判断だったのだと思われる。


HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR

DFA超広角レンズとしては唯一の対抗馬。2024年現在の価格帯は同等。

小型ながら単焦点だけあって解像性能もボケ味もワンランク上の描写。防滴仕様やAF性能といった機能面はおおむね拮抗している。鏡筒の最大径と変わらない組み込み式フードが広角レンズらしからぬコンパクトさを実現している。

DFA21 = 携帯性、素晴らしいボケ味、近接性能、逆光耐性、フィルターワーク
DFA15-30 = より広い画角、2倍ズームで画角調整が可能(広角レンズではより重要)


作例



PENTAX K-1 Mark II 1/4000s F2.8 ISO400 20mm

PENTAX K-1 Mark II 1/3200s F2.8 ISO400 15mm

PENTAX K-1 Mark II 1/4000s F2.8 ISO200 30mm


PENTAX K-1 Mark II 1/500s F5.6 ISO400 15mm
Lightroom自動調整

PENTAX K-1 Mark II 1/100s F5.6 ISO400 15mm

PENTAX K-1 Mark II 1/20s F4.0 ISO1600 15mm

PENTAX K-1 Mark II 0.4s F2.8 ISO3200 15mm

PENTAX K-1 Mark II 1/50s F6.3 ISO400 25mm
※周辺部に展望室ガラスの影響あり

PENTAX K-1 Mark II 60.0s F2.8 ISO400 16mm
アストロトレーサーType1

PENTAX K-1 Mark II 60.0s F4.0 ISO400 16mm
アストロトレーサーType1
天体画像処理