Tamron SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF]
Model A05
2003年製、一眼レフがデジタル化されて間もない時期の超広角ズーム。
当時のデジイチといえばほぼAPS-Cだったため、26-54mm相当の標準ズームとして使われた。
現在では古いながらも貴重なK-1用超広角ズームの1つとなっている。
| 長所 | 短所 |
| コンパクトな鏡筒 広角端F2.8の明るさ 円形フィルターが使用可能 | 解像性能はそこそこ 全体的に逆光に弱い 絞っても四隅の解像が甘い |
| おすすめの用途 風景 / 天体 / 記録 | |
画質
広角端開放の周辺部はレンズの収差が如実に感じられる甘さ。点光源があると、鳥のシルエットにも似たお手本のようなコマフレアが発生する。幸い、1段絞るとサジタル方向のコマフレアは目に見えて改善される。逆に中心付近はK-1で使用しても十分な解像感で、APS-Cクロップの範囲であれば前述の癖も大して問題にならないだろう。
F8まで絞り込むとほとんどの範囲の画質はピーク近くになるが、条件によっては四隅の乱れが気になる。さらにF11まで絞り込むと全体のバランスが均一になり、風景撮影にはベストな性能となる。開放性能が高くないことからF2.8の明るさを天体撮影に活かしにくいのは惜しいものの、軸上色収差がさほど目立たないのでインターバル撮影のような用途であれば割と安心して使える。
現代スペックの高性能レンズに慣れていると絞り込んでも解像性能に物足りなさを感じるかもしれないが、時代とサイズを考慮すれば上々の性能。ハイライトの輪郭が若干ソフトだったり細い線の表現がやや苦手な傾向はあるものの、出力するサイズが大きくなければそれほど気にはならないだろう。
目立つ欠点は逆光耐性で、太陽のような光源に相対すると小さく明瞭なゴーストや薄く大きいゴーストが多数発生する。強い光源なら何でもゴーストが発生するほどではないが、苦手な条件だと苦戦を強いられるかもしれない。また、ヌケの良い単焦点や最近のズームに比べるとコントラストは大人しめ。シャープネスの特徴と合わせて、後処理なしでメリハリのある絵になるタイプのレンズではない。
ボケ味はおおむね良好。点光源の輪郭がやや明るかったり二線ボケのような癖が見られる場合もあるが、写真の雰囲気をかき消してしまうほどではなくボケを活かした撮影も可能。
機能
純正のDFA15-30(タムロンOEMなので実質的な後継モデル)に比べるとスペック表におけるサイズ表記はふた周りコンパクトで重量も600gも軽量。フードが組み込み式のDFA15-30と異なりA05のサイズ表記にはフードが含まれていないので、実際の使用時には直径がひと回り膨らむ。フードなしで運用するには逆光耐性も高くないので、結論としては標準〜やや大きめのサイズ感のレンズと言える。
ボディAFで動作音はそれなりに大きい。最近のボディを使用していればAF速度はおおむね満足のいくもので、用途的にも大抵のシーンで困ることはない。
MFリングは軽くトルク感に欠ける。重量の軽さやプラスチックの素材感など質感的な高級感はない。
現代的なレンズに比べると防滴やクイックシフトフォーカスに対応していないなど機能面に対する不満は少なからずある。しかしフィルターが装着できる点はK-1用の広角ズームとしてかなり貴重なポイント。他の純正広角ズームや一部のスターレンズと使い回せる77mm径なのも地味にナイス。絞りリングも必要な人にとっては加点要素。
まとめ
純正の現行品と比べるとDFA15-30は重さ以外がほぼ上位互換、DFA21も描写の質の高さとコンパクトさでA09を上回っている。そのため中古で比較的安価に入手できることが主なメリットということになるが、ズームでフィルターが使える点などは貴重だったりする。
古い超広角でFA/FA Jシリーズも視野にいれると20-35や18-35もあるにはある。しかし古いだけあって状態の良い個体も多くはない。広い画角を試してみたくてとりあえず手を出してみるなら、A09も悪くない選択肢に思える。
比較
Tamron製 DSLR用超広角ズームの系譜(?)
2003年 SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF] / A05 (EF/F/A/K用)
2014年 SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD / A012 (EF/F/A用) ※DFA15-30のベース
2018年 17-35mm F/2.8-4 Di OSD / A037 (EF/F用)
2018年 SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD G2 / A041 (EF/F用)
TAMRONの歴代Diシリーズ(PENTAXでいうDFA、SIGMAでいうDGシリーズ)の超広角ズームはこんな感じ。この中ではA05が唯一Kマウント用として発売されていたことが分かる。
HD PENTAX-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WR Trial
タムロンのOEM生産品で、上記のA012をベースにしている。A012は2014年製なので設計としては実に11年もの開きがある。A05と比べてのマイナス点とプラス点は以下の通り。
△ 大型化、重量増、フィルター装着不可
◯ より高いシャープネス & 広い画角 & 明るいF値、静粛性の高いAF、クイックシフトフォーカス、防滴
旧型のA05にどんなコーティングが施されていたかは不明だが、レンズ構成枚数が4枚増えたのとは裏腹にコントラストが向上しているのはA012のAXコーティングの効果かもしれない。なおPENTAXがDFA15-30の製造過程に自社のHDコーティングをわざわざ組み込んでいるのか、AXコーティングの効果をHDコーティング相当と見なして便宜上HDブランドで売っているのかは不明。
なお、DFA15-30はヌケが良い割に迷光にはあまり強くない。TAMRONのさらに後継品となるA041では出目金レンズの周辺部まで均質なマルチコートを実現したらしいが、もしかしたらその辺は多少改善されているのかもしれない。
近年は広角レンズの性能もさらに向上しておりDFA15-30の解像性能も完璧ではないが、K-1の3600万画素やリアル・レゾリューションを活かすのであればDFA15-30ほぼ一択。
HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR Trial
K-1用超広角レンズ、筆頭選択肢その2。
超広角かつ単焦点なのでズームより扱いづらくはあるが、画角は広すぎずクロップを併用すれば汎用性には困らない。PENTAXのレンズの中でもハイグレードな硝材が惜しみなく投入されており、しっかり価格に反映されてこそいるがその分描写力も素晴らしい。
特にボケ味が良好でF値さえもっと明るければスターレンズ扱いでもいいのではと思うぐらいだが、そこはLimitedらしさも随所に組み込まれている。
Limitedとして見ると組み込み式のフードは超広角系ではかなりコンパクトなもので、遮光効果のほどはさておきDFA15-30やA05より携帯性はかなり良い。筆者は試用だけで購入できていないが、どこかで予算を工面できないかと常々思う。









