smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]
コンパクトで旅に持ち出しやすい魚眼ズーム。
遠近感を誇張した表現で独特な写真を撮ることができる。
望遠端は普通の広角レンズ風にも使えて意外にも汎用性がある。
| 長所 | 短所 |
| 対角魚眼ならではの表現力 & ズームの利便性 ポケットサイズの携帯性 開放から均一にシャープでクリアな画質 接写に強い | 極めて強い色収差(特に周辺部) 基本的にフィルターが使えない |
| おすすめの用途 風景 / 天体 / 旅行 / 動物 / 花 / 結婚式(?) | |
画質
開放からシャープでメリハリの効いた描写。おおむね周辺まで均一な解像感が得られるほか色乗りもよく、風景撮影に適している。魚眼なので画面に光源が入りやすいが、逆光に強い点も嬉しい。
シチュエーションにもよるが、縮小サイズでも確認できる派手な色収差が最大の欠点。気にならない場面も多い一方、空を背景にした木の枝や電線などコントラストがある部分にしばしばパープルフリンジが発生する。倍率色収差の影響は現像ソフトで、軸上色収差の影響は絞り込んで被写界深度を深くすることで軽減が可能だが、特に後者は輝度差の大きい状況で避けられない場合がある。
ボケ味は概ね良好。開放だと多少の癖がありF値も大きいので背景をふんわり溶かすような撮り方にはやや不向きだが、目に余るほどの癖でもないので変に気を使って撮る必要はない。また、APS-C用で焦点距離が短いためパンフォーカス撮影に向いている。
機能
昔ながらのボディAF式で、AFを作動させると先端付近のフォーカスリングも連動する。十分な速さで風景撮影でストレスを感じることはないが、動体の追従はそれほど得意としない。魚眼レンズといえば動物のデフォルメ写真も人気だが、AF-Cだと動作音も大きい点に注意。
樹脂の鏡筒と金属製のフードを備えており、鏡筒は十二分にコンパクト。質量も320gに押さえられており、サブ的な使い方をする事が多い魚眼レンズでこの携帯性は強みとなる。
接写に強いレンズで、0.14mまで寄ることができる。最大撮影倍率は0.39倍とインパクトのある数字だが、これはあくまで望遠側の数値。広角側の体感値としては0.2〜0.3倍ぐらいのイメージで、いずれにしても十分に寄れる。
魚眼"ズーム"である点は割と重要で、撮影時点で構図を確認しながら最大180°の画角をコントロールできるのはこのレンズの長所。望遠端は歪みも減るので、簡易的な広角レンズとして使うこともできる。Lightroomのプロファイルを当てれば歪みを取り除くことも可能(ただし広角端だと流石に周辺部の粗さが目立つ)。
用途
魚眼レンズの使い所は色々ある。とにかく肉眼を越えた表現が魅力。
ペットや人にデフォルメ効果をかけてみたり、風景を超ワイドに撮ってみたり。
現像ソフトでゆがみを補正すれば、擬似的な超広角レンズとしても使える。
遊びの写真
画質の癖も相まって、DA10-17をメインで運用する機会は多くない。
そんななか意外に活躍した場面が、ゲスト視点での結婚式撮影。
結婚式の撮影機材選び、個人的には悩ましいところがあった。
大三元を用意するとしたら、よっぽど信頼関係があってスナップ撮影を任された場合。
よっぽどでない限りそんな機会は無いし、安請負いするには責任が重い。
また、重厚長大な機材を持ち込めるかもホストとの関係性にもよる。
そしてホスト側が会場のプロに依頼しているなら、アルバムに残すようなショットはほぼ確実に会場カメラマンが抑えてくれる。別にゲストが遠慮する話でもないが、以下の3通りのショットがむしろ喜ばれやすい気がした。
・新郎新婦の不在時の記録
・ゲストの関係性だから撮れる写真
・会場カメラマンが絶対撮らなさそうな写真
これって魚眼では?と思い、試しに持ち出してみたことがあった。
会場カメラマンがなかなか魚眼レンズを使わない理由は汎用性が低いというのがひとつ。
そしてもう一つが、下手にクライアント側が歪んだ写真を撮るとクレームに繋がりかねないため。
友人の関係性だとその辺は許して貰いやすい。
カメラオタクのエゴこそ多分に含まれるが、そのケースにおいてはウケもよくてWin-Winだった。
結婚式に限らず「遊びの写真」に特化している点が魚眼ズームの短所にも長所にもなる。
とにかくコンパクトなので自転車旅をはじめサブレンズとして携行しやすい。
フルサイズ
フルサイズで広角端だと、フードの形でAPS-C領域外がほぼきっちりケラれる。14〜15mmぐらいからフルサイズでも使えるようになり、APS-Cの広角端より僅かに広く写る。ただしイメージサークルの際を攻めることになるので周辺画質が落ちる。
また、手ブレ補正の影響もあってかギリギリケラれないようズームするのも難しい。基本的にFF14mmよりはAPS-Cクロップ10mmの方が良い結果を得られるだろう。
少しでも広く写したい場合、ズームではなくクロップなし10mmを後でクロップする手もある。ほぼきっちりケラれると書いたが、ある程度絞るとフードの影が痩せて「使える」範囲が広がる。なお四隅のケラレはフードではなく鏡筒の縁なので、フードを外せるHD版でも傾向は近いと思われる。縦位置にクロップできる点ではフードなしのHD版の方が有利だろう。
DAテレコンを使うことでイメージサークルを拡大することも可能。
広角端14mmは結局微妙にケラれるが、少しズームするだけで解消するので操作は楽になる。
比較
SIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC
広角端の焦点距離は一緒だが、画角は約110°と対角魚眼よりは狭い。
しかし歪みがよく補正されており普通に使いやすいのはこちら。
前玉が出目金にならないのでフィルターも装着可能。
解像性能そのものはあまり差がない。
DA10-17は開放から周辺部までシャープで逆光においてもコントラストが高い。
Σ10-20 F4-5.6は色収差が少なく補正も容易。ゴーストは強めに出やすい。
サイズはシグマの方が一回り以上大きくフードも多少嵩張る。
サブとして超広角域のレンズを持っていきたい場面ではDA10-17を選ぶことも多い。
他社の魚眼ズームレンズ
| レンズ名 | 新品価格 | 径×長(mm) | 重量 | 倍率 | モーター | 円周 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PENTAX | HD PENTAX-DA FISH-EYE10-17mm F3.5-4.5ED[IF] | ¥56,250 | 67.5×70 | 323g | 0.39倍 | ✕ | △ |
| Canon | EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM | ¥149,859 | 78.5×83 | 540g | 0.34倍 | ◯ | ◯ |
| Nikon | AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f/3.5-4.5E ED | ¥147,880 | 77.5×83 | 485g | 0.34倍 | ◯ | ◯ |
各メーカーの魚眼ズームの価格や仕様を比較してみた。(価格は2023年8月調べ)
PENTAXについては現行品でフードも着脱式となったHD版を取り上げている。
ここから分かるPENTAXの魚眼ズームの特徴は以下の通り。
・価格が安い
・軽量コンパクト
・駆動方式がボディ内モーター
・円周魚眼には非対応 ("円周魚眼風"が謳われているが上下がケラれるため)
注意が必要なのは、DA10-17のみ焦点距離が長いので一見カバーする画角が狭いかのように見えるが、いずれのレンズもAPS-Cサイズでは最大180°に対応する対角線魚眼レンズとなっている点。
フルサイズの円周魚眼として使う場合、DA10-17は上下がケラれてしまう。
魚眼レンズ自体飛び道具的な存在なので、手軽に試すという意味では5万円台で純正の新品が手に入るDA10-17はライトユーザーにとって貴重な存在。またサブレンズとなる機会が多いため、バッグの片隅に収まるサイズ感と重量も実用上優れている。ただし、本格撮影をする上でDA10-17の色収差はやはり気がかり。実写してみないと分からないが、作例を見る限り他社の魚眼ズームは画質的に優れていそうだ。
お手軽ながらも魚眼ズームに一家言あるPENTAX。
ロードマップにあったDFA版はどんな設計だったのか……とはうっすら思う。
備考
Tokinaとの共同開発
共通の光学系を持つAT-X 107 DX FisheyeがNikon Fマウント用、Canon EFマウント用として存在する。
基本的な仕様は似通っており、サイズもほぼ同等。DA10-17がクイックシフトフォーカスに対応しているのに対してTokina版はAF/MF切り替えがスイッチ式になっているなど細かい差はある。











