smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR

コンパクトさと防滴仕様が特徴の等倍マクロ。
近接に限らず風景撮りでも高解像で汎用性が高い。
鏡筒はアルミ削り出しでLimitedレンズ風に仕上がっている。


長所                  短所                  
非常にコンパクトな中望遠マクロ
近接から遠景まですぐれた解像力
アルミ削り出しの金属外装
防滴仕様
開放はパープルフリンジが出やすい
AFが遅い(特にライブビュー)
おすすめの用途
スナップ / 風景 / 昆虫 / 植物 / 複写


画質

解像力、逆光耐性ともに優れている。
像面歪曲や周辺減光も極めて少ない。

付属のフードはフォーカス時に伸びる前玉ではなく、マウント側の鏡筒に取り付ける仕組み。
長く繰り出す前玉を保護する意味合いが強いのか、なくてもそれほど影響は無いと感じる。
携帯性を重視する状況では外してしまうのもやぶさかではない。

レンズによっては撮影距離の画質への影響、特に遠景で画質低下が見られるものがある。しかしこのレンズは近接から遠景まで十二分シャープな描写。周辺まで描写が安定していることもあり、風景用の単焦点として持ち出しても活躍する。

ボケは条件によってはざわつくこともあるが、ざわついた背景を選ばなければまず及第点。気になる場合は一段絞り込むといいかもしれない。円形絞りはF5.6程度まで角ばらず、玉ボケを意識するのであればF4〜5.6あたりが使いやすい。

最大の欠点は開放の盛大な軸上色収差(パープルフリンジ)。
順光でも被写体に強い光が当たるとピント面付近が紫がかってしまうことがしばしば。
逆光の場合、二段近く絞ってもコントラストの高い輪郭線が色づくことがある。
幸い至近距離のマクロ撮影や風景撮影では絞り込むことが多く、意外と気になる場面は少ない。
基本的に絞り込んで条件がいいときは開放も使う、という縛り要素を伴うことは確か。

パープルフリンジに関しては光学系を更新した後継モデルで大幅に改善された。


機能

マクロレンズとしては非常にコンパクトなのが特徴。ほぼ最小クラス。

他社製品を例に挙げるとLUMIXからミラーレス用世界最小の100mmマクロが出ているが、DFA100WRはさらにコンパクトにまとまっている。AFモーターを搭載していないので小型軽量は当然と言えるかもしれないが、他社がボディ内モーター駆動のレンズを出していた時代のマクロレンズ/マイクロレンズより小さいことからもDFA100WRのコンパクトさが際立つ。

AF中望遠等倍マクロでこれより小型の製品を知らないので世界最小クラスを謳っていいのではと思うのだが、メーカーがそのような宣伝をしていないところを見るともっとコンパクトな製品がかつてどこかに存在していたのだろうか。

フォーカシングは前玉繰り出し式のため等倍撮影時は全長がかなり伸びるが、バヨネット式のフードがちょうど前玉を保護する役割を兼ねている。擬似インナーフォーカスのような形で被写体と前玉が衝突してしまうようなリスクは少ない。逆光に強いのでフード着脱や嵩張りが煩わしければフードなしで運用してしまうのもあり。

マクロレンズとしては順当な使い勝手で、適度なワーキングディスタンスを稼ぎつつ手軽に等倍撮影を楽しめる。用途的にPLフィルター等を使いたい場面も多いが、フィルター径がPENTAXではおなじみの49mmなので気軽に調達して使い回せる点も良い。

フォーカスリミッターを搭載していないのがややマイナスポイント。ボディAF式かつフォーカスリングの回転角が大きいため一度AFが迷うと待たされる時間が長く、マクロ撮影時には特にフォーカスリングの往復距離が長くなる。コントラスト式のライブビューAFではさらに遅くなり、シャッターチャンスを逃してしまうことも。クイックシフトフォーカスを併用してMFでうまくサポートするのが吉。

HD版では機種限定でソフトウェア上のフォーカスリミッターが追加されたが、物理スイッチが使えるのが理想ではある。

AF駆動方式に着目して他社と比較すると、2000年代半ばには中望遠マクロのスタンダードは既に超音波モーター式となっていた。本製品、DFA100WRは2004年発売の初代DFA100を2009年に防滴化リニューアルした製品だったが、その後2022年にHDコーティング版の登場を経て今に至るまでモーター内蔵化は実現されていない。

物撮りであればMF専用でもいいぐらいなのだが、小動物や風に揺れる花などを相手にする際はボディAFだと追従性に難を感じることがある。ボディAFはギア音も大きいので、神経質な小動物などが被写体だと音で警戒されやすい。

機能面ではマクロレンズとしての扱いづらさに注目してしまいがちだが、風のない日の植物撮影や物撮りであればAFも素早く決まり何の問題もない。近接に限らず風景まで幅広く使えるので、マクロレンズであることに縛られずコンパクトな中望遠としてスナップに持ち出すとなかなか楽しいレンズ。


まとめ

WR化の際にLimited風のアルミ削り出し金属鏡筒にリニューアルされ、製品の質感がとても良い。

フィルター径49mmなのでDA40用のフードなどでコンパクト運用することもできるので、中望遠Limited的な運用をしてみるのも良いだろう。解像力のしっかりとした単焦点をこのサイズ感で使えるのはPENTAXならでは。

均一で歪みのない画質なので星撮りにも……と言いたいところだが、フリンジ問題がつきまとう。とりあえず等倍撮影を楽しみたいならsmc版の中古も安いが、マクロに予算が割けるのであれば画質向上とフォーカスリミッターのおまけもついてくるHD版も要検討。


比較

HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8

未所有。試用のみなので参考までに。
HDコーティング化と硝材の変更でパープルフリンジを大幅に軽減したリニューアル版。
外装は刻字の内容が僅かに変更された以外はほぼ同一。モーター内蔵は見送られたもののサイズは維持されている。

基本的な使い勝手はほぼ同等。
K-1/ K-1II / K3III / KFのファームウェアで追加されたフォーカスリミッターに対応している。

smc版の画質はパープルフリンジがほぼ唯一の欠点だったので、そこが補完されるのは大きい。
マクロ用以外も含む中望遠単として幅広く使うなら開放の性能は重視したいところ。


作例


PENTAX K-1 Mark II 1/160s F6.3 ISO250 100mm


PENTAX KP 1/250s F4.0 ISO1600 100mm


PENTAX KP 1/3200s F2.8 ISO800 100mm
Lightroom現像(フリンジ軽減)


PENTAX K-1 Mark II 1/1600s F2.8 ISO200 100mm


PENTAX K-1 Mark II 1/100s F4.5 ISO800 100mm


PENTAX K-1 Mark II 1/250s F3.5 ISO400 100mm


PENTAX K-1 Mark II 1/1600s F2.8 ISO400 100mm


PENTAX K-1 Mark II 1/500s F11 ISO800 100mm

PENTAX K-1 Mark II (APS-C Crop) 1/2000s F2.8 ISO400 100mm
カスタムイメージ:里び
74%トリミング


PENTAX K-1 Mark II 1/125s F2.8 ISO800 100mm


PENTAX K-1 Mark II 1/200s F8.0 ISO100 100mm
カスタムイメージ:リバーサルフィルム


PENTAX K-1 Mark II (FF) 1/200s F9.0 ISO400 140mm
カスタムイメージ:モノトーン
HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW