HD PENTAX-D FA★85mm F1.4 ED SDM AW
フリートライアルで2週間のみ試用したメモ。PENTAXのポートレート最終兵器。
| 長所 | 短所 |
| 高い解像力と優れたボケ味 (Kマウントトップクラスの光学性能) ゼロディストーション 静粛で比較的高速なリング型SDM MFの操作感 防塵防滴仕様 頑丈な金属鏡筒 | 非常に大きく重い |
画質
軸上色収差の低減をテーマに掲げて設計されたレンズだけあって、色収差は基本的に高いレベルで補正されている。アウトフォーカスの輪郭線に色づきが見られる場合もあるものの、ピント面前後は非常にスッキリ。解像度の高さも相まって大幅なトリミングにも耐える高画質を実現している。
開放から全域均一なシャープネス、とまではいかなくともF2.8〜4まで絞れば全域で理想に近い結果が得られる。倍率色収差は、テスト撮影のデータを等倍で穴が空くほど探してようやく分かる程度。つまりほぼ皆無。
K-1 Mark IIの場合だと中心部ではF2.8〜4、周辺部(APS-Cにおける四隅)ではF5.6、四隅ではF5.6〜F8が解像度のピーク。F1.4〜2の時点で既にピークに劣らない解像性能だが、少し絞るとごく僅かに見られた軸上色収差(被写体にもよるが基本的に等倍で分かる程度)も消えてより締まった印象となる。F11以降は回折の影響で画面全体のシャープネスが低下していく。
平坦な被写体を撮影すると開放付近から画面の周辺部までピントが均一で、像面の平坦性も高いことが伺える。開放の周辺減光はそれなりに見られるが、2段以上絞るとほぼ解消される。
ゼロディストーションを謳うだけあって歪曲収差は全く見られない。ファインダーに写る像がそのまま撮影結果となるので、人工物をとり入れる撮影でも構図作りで余計なことを考える必要は無い。
逆光耐性は良好。強い光源が周辺にあると絞ったときにゴーストが見られる場合もあるが、開放付近ではほぼ目立たない。フレアの影響も極小で非常にクリアな光学系。DFA★50と違い「エアロ・ブライト・コーティングII」は用いられていないが、レンズ構成の工夫とHDコーティングの組み合わせで解決しているとのこと。同時に借りて使ってみても逆光耐性の差は感じられなかった。
機能
超望遠クラスを除くKマウントレンズとしては最も重く巨大なレンズ。
フォーカスリングとAF/MF切り替えスイッチのみのシンプルな操作系。金属製の鏡筒は頑丈で信頼性が高く、防塵防滴もばっちり備わっている。
AF性能はおおむね良好。リアフォーカス式を採用しており、フォーカス時にレンズの全長は変化せず前玉も回転しない。DFA★50で開発されたリング型SDMはさらに改良され、従来比1.3倍(=DA★シリーズの小型SDM比で約10倍)の高トルクを達成した。比例するように大きく重いフォーカス群を抱えているため爆速とはいかないものの、実用面でストレスのないAF速度となっている。 ピントリングは幅広でほどよいトルク感があり、バックラッシュも少ないためMFでも扱いやすい。
最短撮影距離は85cmで最大撮影倍率は0.12倍。あまり寄れるレンズではないがDFA★85がターゲットとするポートレート撮影における問題はない。トリミング耐性が高く立体表現にも優れるレンズなので、クロップ等で被写体を大きく見せても違和感はないだろう。
電磁絞りを採用したKAF4マウントなので、K-50やK-3より古い機種ではファームウェア対応がなく絞りが動作しない点に注意が必要。
フードもかなり大型。先端部はゴムでカバーされており、レンズを下に向けて地面に置くことが想定されている。
まとめ
何かの手違いでいつか買ってしまうことがあるなら、そのためのサンプルには触れておこうというのは自然な流れ。というわけでフリートライアルに何度か申し込んで当選した。
もともとはフィルム時代のFA☆85mm F1.4 ED[IF]をベースに解像性能の向上を目指していたらしく、サイズの制約さえなければ色収差も十分に改善できるという選択肢が生まれた結果サイズの制約を取っ払って爆誕したのがこの業界最大クラスの85mm F1.4ということだったらしい。いやはや潔い。
確かに単焦点だと思えば重く大きいが、望遠ズームに比べれば実用的な取り回し。頻繁にレンズを交換するような撮影でなければサイズと重量のデメリットは許容できる範囲だろう。黙っていてもレンズ交換の頻度は減るので、買うにも持ち出すにも思い切りを求められるレンズだと感じた。
備考
HD PENTAX-DA AF REAR CONVERTER 1.4X AW
対応レンズの中では珍しくフルサイズ機で使用してもケラれない。開放F値はF2ではなくF2.4となり、119mm相当(APS-C使用時FF換算182mm相当)の望遠レンズとして使用できる。
開放では弱めのソフトフィルターをかけたようなシャープネスの低下が見られ、F3.5〜4.5程度に絞ると本来の性能には及ばないまでも実用的な解像度となる。単焦点らしいキレを求めると3段分も暗くなってしまうので、特にフルサイズで使用する場合は普通にクロップした方が良いという説も。フルサイズの場合周辺部の像が歪むデメリットもある。
しかしDAテレコン×フルサイズの組み合わせでケラれないレンズは珍しい。
比較
smc PENTAX-FA☆85mm F1.4 ED[IF]
DFA★85の設計者が大いに頭を悩ませる原因となったであろうフィルム時代のスターレンズ。未所有/未使用だが長らく銘玉と呼ばれている。色収差など現代の基準では指摘される要素もあるようだが、一方で容積や質量はDFA★の半分以下で非常にコンパクトにまとまっている。
1992年発売の古いレンズなので当然のことながらギア音の鳴るボディAFで、防塵防滴やクイックシフトフォーカスも採用されていない。2004年の生産完了から20年以上が経過しているのでそもそも美品を探すのが難しかったりする。しかし個人的に興味はある。
SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM
サードパーティのKマウント用レンズでは貴重なデジタル対応の85mm F1.4。
未所有/未使用なので性能について客観的な比較はできないが、Artラインが生まれるより前の製品(2010年発売)ということで現代の感覚だと性能の粗はあるらしい。サイズが似通っていて対立候補となり得るのはFA85の方だが、SIGMAの85mmはHSM(超音波モーター)を内蔵しているので静粛性が求められるイベント撮影などにおいて優位性がある。
他社の85mm F1.4と比べて
35mm判フルサイズ用の85mm F1.4としておそらく最大級のサイズ。
同じく最大クラスであるSIGMAの85mm DG HSM Artに比べると僅かに短いが、重量はDFA★85が100gほど上回っている。ちなみにArtの85mmはミラーレス版でざっと半分の重量にまでダイエットを果たした。ミラーレスがメインストリームになることが明らかになってから登場した一眼レフ用の85mm F1.4なので、スターレンズはもう下手に小型化しない方向に舵を切ったものと思われる。なんなら他社ミラーレス用の85mm F1.2よりも重くなったのはここだけの話。
作例
カスタムイメージ:フラット(カスタム設定)
カスタムイメージ:フラット(カスタム設定)
カスタムイメージ:フラット(カスタム設定)













