KP/K-1II/K-3III 高感度テスト 



なんちゃって比較チャートを制作したのでKP、K-1 Mark II、K-3 Mark IIIの3機種でISO感度ごとの比較撮影をしてみた。



概要

2016年に発売されたK-70以降のPENTAX一眼レフには「アクセラレーターユニット」が搭載されており、中でもPENTAX KPやK-1 Mark IIの「最高ISO感度819200対応」はユーザーに衝撃を与えた。

もちろんISO80万が常用感度として使える訳ではなく、ISO感度6桁以上は他社における拡張感度、あるいは非常用感度的な数値。RAWにノイズリダクションを加える処理には賛否もあり、K-1とK-1 Mark IIのアクセラレーターユニットの有無による解像感の性能差を検証している記事もある。

本記事ではアクセラレーターユニットの有無ではなく、アクセラレーターユニット搭載機種の世代ごとの画質の差を検証していく。もとい、メインの3機種がすべてアクセラレーターユニット搭載機だったのでその範囲で比べてみる。


唯一自宅で環境光を遮断できる浴室で撮影。ついでに埃がないのでレンズ交換も楽。
磁石を粘着ピンでとめようと思っていたら普通に直でくっついた。
最近のユニットバスはバリエーションを増やす目的で鋼板製の壁が主流らしい。知らなんだ。


撮影対象:自宅浴室の壁にマグネットで固定したなんちゃってチャート (距離約1m)*

カメラ:KP / K-1 Mark II / K-3 Mark III

レンズ:DA 35mm F2.8 Macro Limited / DA 50mm F1.8 (FF換算約50mm相当)

トリミング:あり (それぞれ約13.5MP / 20.5MP / 14.7MP)

カメラ設定:絞り=F11*、SS=1/500秒〜30秒、WB=電球色、RAW、電子シャッター、リモート操作

※特に理論も裏付けもなく、何となく参考になりそうな素材を寄せ集めたA3プリント(コンビニ印刷)
※フリッカーを警戒して遅めのSSにしたけど、あまり意味がなかったしF5.6程度で良かったかも



1枚目:K-1 Mark II (フルサイズ/焦点距離50mm)
2枚目:K-3 Mark III (APS-C/FF換算焦点距離53.5mm相当)
ノートリミングの状態。浴槽のヘリで三脚の位置を決めているのでこれ以上は接近できず。



サムネイル比較




1〜3枚目いずれも上段から KP / K-1 Mark II / K-3 Mark III


ISO100〜819200(K-3IIIのみ1600000)までをざっと並べるとこんな感じ。4Kディスプレイの幅でスクリーンショットを撮っただけなのでサムネイルが小さいのはご容赦(書き出して順番通り並べるのが大変すぎるため)。


ISO 1600 / 12800 / 102400 / 819200


分かりやすくISO感度4段階×3機種で12枚を抽出。サムネイルでの比較は解像感より全体の色味やDR(ダイナミックレンジ)の比較が中心となるが、その観点で見ると以下の通り。

KPISO6400〜12800からDRが低下し、51200からの劣化が激しい。
K-1IIKPに比べておおむね1段上の高感度耐性。102400から色味が不安定になり始める。
K-3IIIISO25600からDRが低下し、102400〜204800からの劣化が激しい。色味は最も安定している。



拡大比較

拡大サイズで解像感を比較してみる。

APS-C機にHD DA35マクロ、フルサイズ機にDA50を使用したが、手持ちの機材では画角や光学的な解像性能の条件を統一することができなかった。本来であればDA★55とDFA★85あたりで比較できるのが理想だが、予算と浴室の広さ的にこれが目一杯。撮影後にチャートの四隅に合わせてトリミングしており、トリミング後の画素数は以下の通り。

KP:約1354万画素
K-1II:約2050万画素
K-3III:約1465万画素

ISO100
左から KP / K-1 Mark II / K-3 Mark III


SO100での画質の差。K-1 + DA50の解像度が最も高い。
DA35マクロは2機種で計3回ピントを詰める作業をしているのでピンボケの可能性は低いと思われる。


左から KP / K-1 Mark II / K-3 Mark III
上から ISO1600 / 3200 / 6400

薄暮時や屋内撮影時に多用する感度域。
KPもAPS-C機としては十二分の高感度耐性だが、黒がやや浮いてきている。

K-1IIとK-3IIIは互角と言いたいところだが、K-1IIの方が粒子が細かくなめらかな描写。
トランプのハートマークを見比べると分かりやすい。

KPとK-1IIは、ISO6400からクラブのキングの上あたりで緑色が滲み出してきている。


上から ISO12800 / 25600 / 51200


一般的に超高感度と呼ばれるのはこのあたりか。
解像性能では依然フルサイズに分があるが、K-3IIIの方が黒が締まっている。
KPは51200でDR低下が顕著になる。

K-3IIIと他2機種の間で色味の差がついてきた。
ISO25600のアカゲラの赤い色の退色加減を見ると分かりやすい。

ISO12800からK-3IIIでも色が滲み出す現象が確認できる。およそ1段分耐えていることが分かる。


上から ISO 102400 / 204800 / 409600 / 819200


アクセラレーターユニット搭載機から対応した超々高感度域。
K-1IIはISO204800から色味が大きく傾き、記録用としても厳しい画質。
KPは最高感度で意外にも善戦。トランプの印字がギリギリ原型を留めている。

K-3IIIで持ちこたえていた色味はISO204800から崩壊気味に。ぎりぎり識別できていたアカゲラ後頭部の赤味も消失。ここの色彩が不明瞭になると、雌雄の判別が困難になる。

形状に関しては、どの機種もISO204800までなんとかカモシカの判別が可能。これが他の動物、たとえばタヌキだったらハクビシンやアナグマとの識別は困難だと思われる。


各機種の最高ISO感度 ISO 819200 or 1600000


各機種の最高ISO感度(K-3IIIのみ160万)で並べた様子。

KPは緑色に、K-1IIは紫色にバランスが傾いている。

K-3 Mark IIIの最高ISO感度1600000はとても実用的とは言えないが、色味の再現性に関しては最高感度に至るまでなんとか大きく転ばず維持しているのが見てとれる。



まとめ

K-3 Mark IIIは画像処理エンジンがPRIME IVからVに、アクセラレーターユニットもIIに更新されたことで歴代PENTAX機トップクラスの高感度耐性を得ていることは間違いないだろう。単純な解像度ではセンサーサイズと画素数でK-1 / K-1 Mark IIに優位性がありそうだが、おおむねISO51200〜102400を境にダイナミックレンジを含めた全体的な画質でK-3 Mark IIIが本領を発揮してくる。

・高感度性能、特に解像感に期待して機種を選ぶならK-1 Mark IIはベストに近い。
・ダイナミックレンジの維持ではK-3 Mark IIIがトップクラス。常用感度(1600程度)からその傾向が見られる。
・KPは他の2機種ほどではないものの、より古い機種に比べて高い高感度性能を持つAPS-C機。



個人的な常用感度/非常用感度の目安
(ケースバイケース、のちのち変わるかも)

機種 常用最大感度 
(あまり気にしない)
用途次第で許容
(ブレ対策優先なら)
許容できる限界
(形状が判別できる)
KP320025600204800
K-1 Mark II640051200102400
K-3 Mark III1280051200204800



おまけ(?)
K-3 Mark IIIの発熱について

K-3 Mark III
ISO 1600 / 12800 / 102400 / 1600000
上段 = 一定時間使用した温度 / 下段=冷蔵庫保管後の温度


K-3 Mark IIIは過去の機種より演算性能が向上しているためか、夏場使用しているとなぜか発熱しやすい。今回の撮影時の室温は27〜28℃程度だったが、やはり条件を整えている間にある程度熱が籠もっていた。そこで、K-1 Mark IIやKPで撮影している間に一度K-3 Mark IIIを冷蔵庫に保管し、熱を取り除いた状態で再度撮影したものが上の画像。

手で触って分かる程度に発熱するので多少の影響はあるのではと思ったが、少なくとも30秒以内の露光時間では全く影響がなさそうだった。

露光時間も被写体も熱ノイズの検証には適切な条件ではないが、普段遣いではまず気にする必要はないということで参考までに。