Wilier JENA
自転車で白神ラインを走破したくなって導入したグラベルロード。
好きなデザインで選んだらまたしてもWilierになった。
クリアランスの広い設計やアイレットの多さから対応力に優れている。
選んだポイント
未舗装路対応のツーリング車
昔から憧れている車種にランドナーがあった。昭和の時期にサイクリング車というジャンルもあったが、荷物満載のキャリアや泥除けや太いタイヤを備えて長期間のツーリングに対応する自転車という流れを汲んでいる自転車にそのような名前がついている。
しかしランドナーに類する自転車にはパーツの多さから来る輪行の煩雑さ、重さ、規格の古さなど運用面での課題がつきまとう。時間と体力に余裕がある状況でマイペースに楽しむにはいい車種だが、もう少しロードバイクのような軽快さが欲しい。できれば規格もロードバイクに準拠していた方が、身軽な構成にするには選択肢が広いのだ。
そこで目をつけたのが2010年台後半に台頭してきたグラベルロード(グラベルバイク)だ。タイヤが太めでキャリアや泥除けにデフォルトで対応している車種が多く、しかもディスクブレーキ普及の流れを汲んでいるので規格も最新と言っていい。そしてツーリング車に乗るからにはロードバイクで出来ないような旅がしたい。それはキャンプツーリングとグラベルライドだ。ULギアを駆使すればロードバイクでもキャンプは出来ないことはないが、ここでは割愛する。
もうひとつの憧れ、というと語弊があるが、いつかは走りたいと思っていた道があった。地元である青森県弘前市から西へ行くと、西目屋村の奥に白神山地が広がっている。42kmのガレた山道を突っ切ると日本海へと抜ける訳だが、ここをロードバイクで越えるのは不可能ではないにせよ容易ではない。グラベルロードを導入したもうひとつの目的は、この白神ラインを自分の足で越えることだった。
規格
少し前まではディスクブレーキ対応のロードバイク・グラベルロードは規格がやや乱立気味だった。従来のクイックリリース(QR)方式のままディスクブレーキ台座をつけたり、スルーアクスル方式だとしてもMTBベースで前後のねじ径が異なっていたり。
2019年モデルが出たのはそういった規格が統合されてきた時期で、ホイールを固定するスルーアクスルはロード系だと前後12mm径、幅は前100mm、後142mmがメジャーなものとして定まっていた。前述したQR方式のホイールはリムブレーキ用の製品はハイエンドまで揃っていたが、ディスクブレーキ対応でQR仕様となると割とニッチな製品になる。
なのでホイールのアップグレード等を考え、少なくとも前後スルーアクスル採用のフレームで検討することとなった。
デザイン
2019モデルのグラベルロードというと、既に各メーカーから多様なラインナップが出ていた。郊外の山道や荒野を走るというコンセプトの製品なので、デザインもそれを意識したものが多い。一言で言えばアースカラーというか、黒・茶・緑がよく採用されている。ここで天邪鬼が発動してしまった。正直黒茶系の方がコーディネートとかシンプルにまとまりやすくて良いのだけれど「野山にあまり無い色」が欲しくなっていた。
候補にしていたのはninerのRLT9。STEELとALLOYいずれも水色系のカラーを採用していて、地金っぽさが出ているのもまた好みだった。大体予算30万円ぐらいだったので、当時のフレーム価格23万円(税抜)はちょっと予算オーバーながら手が届く範囲だった。
しかしその後、更に好みのデザインのフレームを見つけてしまった。奇しくもWilierのサイトで。
予算
Wilier JENAはカーボン製フレームで当時の価格は32万円(税抜)。前の候補から9万アップはフレームだけで予算を使い切る勢いである。しかしグレーのベース色にビビッドな青と黄色が控えめな差し色として加わっているデザインは、正直かなり好み。荒っぽい乗り方や輪行前提なら金属フレームの方がラフに扱えて都合がいいのだが、この機会にカーボンフレームに乗ってみるのも大いにアリに思えてきた。
いずれにしても学生時代にバイトをしていた地元の自転車ショップで組んでもらおうと思っていたので店長に相談してみた。すると数年前にバイトを引退した身だったが、身内向けの15%割引を適用してくれるとのこと。さらにコンポーネントとホイールは他のお客さんのお下がりパーツを蔵出しできるとのことで、30万円台前半で完成車の形に収まることとなった。こうなるともう即決一択である。こうしてみると色々お世話になりまくりだった。
無事に予算の問題をクリアして、初のグラベルロード、初のカーボンフレームとしてWilier JENAを迎えた。
その他パーツ構成
予算を度外視するならコンポーネントはアルテグラやGRXが順当なところだが、105の機械式ディスクブレーキもパッドの減りに応じてメンテナンスをすればよく効くので必要十分な構成(そもそもお下がりに感謝はあっても不満はないのだが)。ハンドルはコントロール性を重視してDIXNA バンディーハンドル、ペダルは不整地で簡単に着脱できる両面SPDにした。
レビュー
幅広い運用が可能なマルチロール機
スルーアクスルやディスクブレーキのおかげで異なる径のホイールに簡単に組み替えることが可能で、700×35Cのスリックタイヤから27.5×2.1インチのブロックタイヤといった具合に構成次第でガラッと乗り味を変えることができる。
スリックタイヤでヒルクライムレースにチャレンジしてみたり、ブロックタイヤでロードでは走れない砂利道をダウンヒルしてみたり。ほどほどの構成で舗装路も未舗装路も走るランドナーやパスハンター的なバイクにすることもでき、積載や泥除けにももちろん対応している。
キャンプツーリングにも対応できる積載力
キャリアを使用するとコントロール性や乗り味への影響が大きいので、増槽はバイクパッキング向けのバッグやフォークラックぐらいに留めている。後三角やフォーク周りのアイレットは充実しているので、もちろんキャリアや泥除けの追加も可能。
最大で2人用テント、ミニ焚き火台、クッカー・ストーブ一式、キャンプチェア、三脚など自転車ツーリング装備としては贅沢な装備を積むことができた。大型サドルバッグに頼らなくてもある程度積載量を確保できるため、重心が高くならないところも満足している。
オフロード性能と航続距離の両立
未舗装路を走りたければMTBに乗ればいい、というのは一理あるし実際HTMTBなら所有している。しかしハードテールはMTBの中でも比較的軽量で走りやすいジャンルだが、それでも1日100km単位のライドをしようとは思えない。MTB遊びの本領はフィールドを駆け回るアクティビティとしての楽しさで、どちらかというとスキーやスノーボードに近い。一方でロードバイクはスポーツと移動手段を兼ねられる機動力が本領で、輪行のハードルも低い。
車載が前提となるMTBでハードなコースを楽しみたいというより、ロードバイクのように長距離ライドで土地や風景の変化を眺めつつ時折砂利道に突っ込んでみるぐらいの遊び方が自分には合っている。そういった用途でグラベルロードは最適解のひとつ。県境か隣県ぐらいの峠を目指して下りは砂利道ルートを選んだり、河川敷をどこまでも遡って輪行で帰宅したりとルートの選択肢に事欠かない。これはMTBにもロードバイクにもない魅力。
特化した用途では器用貧乏気味?
MTBにもロードバイクにもない魅力がある、とは述べたが、裏を返せばMTBやロードバイクにしかできない事もある。振動吸収はフレームのわずかなしなりとタイヤのエアボリュームのみで賄っているのでサスペンションを搭載したバイクには敵わない。
極端な悪路では担ぐ場面が多くなる。パーツを組み替えてロードバイク風に乗ることもできるがベースはあくまでオフロード車。ジオメトリは太いタイヤを前提としているのであまりタイヤを細くすると見た目やトレール量などに影響が出てくる。幅広でドロップの浅いフレアハンドルは向かい風の中の高速走行には不向き。流石にハンドルはホイールのようにワンタッチで交換することはできない。
ロードバイクが欲しい人、MTBが欲しい人が両取りしようとしてグラベルロードを選ぶとどっちつかずになる可能性もあるだろう。初めからロードバイクやMTBが欲しい人はそちらを選び、グラベルロードは2台目として選択するのが賢明かもしれない。
前三角周りの拡張性は控えめ
レーシング系・アドベンチャー系どちらにも対応するグラベルロードというのがJENAの設計コンセプト。前者の運用は剛性の高い60Tカーボンの採用やカムテール形状のダウンチューブ、後者の運用はドロッパーポストにも対応するスローピングフレームやタイヤクリアランスをはじめとする拡張性で担保されている。
逆に言えばやや八方美人な側面もあり、エアロ形状ながら加速感より直進安定性に振ったフレーム設計、積載の自由度は他のグラベルロードに一歩譲る点などが例として挙げられる。積載についてはトップチューブバッグ上部やダウンチューブ下など、ツーリング志向のグラベルロードでは標準搭載のアイレットが無いのが惜しいポイント。カムテール形状のためにダウンチューブバッグの取り付けもやや不安定で、スローピングフレームはある程度のフレームサイズがないとフレームバッグの選択肢を限定する要因となる。
カスタム
ホイール (SHIMANO RS170 → MAVICリム手組み & DT SWISS E1700 sprine2)
初期はシマノのディスクブレーキ入門ホイール。後にホイール換装を相談したショップが手組みを売りにしていたこともあり、8万円台の予算で手組ホイールをオーダーした。リムはMAVIC OPEN PRO、ハブはDT SWISSの350で予算を抑えた。スポークは24本。ディスク用ホイールとしては少ない本数なのは軽量化と見た目、輪行時の作業性が主な目的。いまのところ特に剛性不足や狂いやすさは感じていない。リム内幅は19mmで、推奨タイヤ幅は23〜62mm。オーダーした2019年当時としては十分ワイドなリムだったが、エアを抜いたときのヨレにくさを考えるともう少し広めもアリだったかもしれない。初期ホイールより軽快な走りでバイク重量も420gほど軽量化された。
さらに買い足したのはDT SWISSのMTB用27.5"ホイール。ブロックタイヤを履かせるオフロード特化ホイールを探していたところ、バイクカラーの青と黄色が入ったE1700をオークションで見かけて即ポチってしまった。正直走りも重量も鈍重なホイールだが、ホイール周りの風変わりな差し色がマッチしていて気に入っている。これに2.1インチのブロックタイヤの組み合わせがJENAのフレームで対応できる最大タイヤ幅となる。700Cの場合は45C程度まで入る。
タイヤ
・GRAVEL KING 700 × 38C / 43C
・GRAVEL KING SK 27.5 × 1.90"
・GRAVEL KING SS 700 × 32C
・WTB RIDDLER 700 × 45C
・MAXXIS CROSSMARK II 27.5 × 2.10"
・SCHWALBE ICE SPIKER PRO 27.5 × 2.25" ※フレーム非対応
ロードバイクでは23C一択だったのがディスクブレーキのタイヤクリアランスのおかげで一気に選択肢が広がり、無事タイヤ沼へ。最終的に気に入ったのはグラベルキングの43CとMAXXIS CROSSMARK IIの2.1インチブロックタイヤ。舗装路メインのツーリングでは前者、未舗装路のダウンヒルが含まれる場合は後者を選択することが多い。E1700とMAXXISの組み合わせは巡航速度を維持するのが辛く、グループでイベントに参加した際タイムの制約のなかボロボロの脚でゴールした。
アイススパイカープロは雪道を走る自転車乗りの定番品(くれぐれも交通の妨げにならないように)。タイヤのノブの角をニッパーで削げば2.25インチもギリギリいけるかと思ったが、残念ながらちょっとのヨレで塗膜に干渉してしまうようだった。やっぱりJENAの最大タイヤ幅は45Cまたは2.1インチということで。
サドル周り
一時期Fabricの青いサドルを導入してみたが、乗り心地が固くて断念。他はドロッパーポストを導入するなど。組み込みで常用するにはやはり重いので、たまに使いたいときにケーブルをフレームバッグや結束バンドで仮止めする運用をしている。
バッグ類
メインで使っているのはAPIDURAのフレームバッグ、トップチューブバッグ、フォークバッグ、サドルバッグ等。Dryモデルはグレー地に黄色の差し色がフレームとマッチして丁度いい。ハンドル小物と干渉するので使用頻度は少ないが、フロントバッグが必要なときはADEPTのバードラムDLXを使用している。












